2016/11/16
2020/04/14
決定理論とは?簡単にわかりやすく説明
決定理論とは、意思決定を数学・統計学的に行うための理論のことです。現実世界では、行動の決定による結果は、不確かさによって決まることがあります。例えば、朝家を出るときに、傘を持って行かないという決定は、天候という不確かさのもとで、結果が分かれます。雨に降られたら、濡れて後悔することになるし、雨が降らなければ、荷物が軽くなって良いでしょう。このような不確かさに左右される状況下で、得られている情報(データ)から、結果が最良になるような行動を決定する理論が、統計学による決定理論です。
期待効用を最大にする意思決定
決定理論には様々な種類の考え方がありますが、代表的なものとして期待効用を最大化するものがよく使われます。効用とは、行動によってもたらされる結果の一つ一つに設定されるものであり、これが大きいほど良い結果であると言えます。各行動によって期待される結果の効用、これを期待効用と言います。
期待効用は、行動によってもたらされる結果の期待値で評価できます。
例えば、Dという行動が0.3の確率で効用10の結果をもたらし、0.7の確率で効用5の結果をもたらす場合、その期待効用は
$$ 0.3×10 + 0.7×5 = 3 + 3.5 = 6.5 $$
です。
では、具体的にどのような場面に適用できるのでしょうか?話をわかりやすくするために以下のような例を考えます。(フィクションです)
今年、大学を卒業する佐藤さんは就職活動を始めました。佐藤さんが志望する会社は3社のみで、そこに合格できない場合、ホームレスになる覚悟があるとしましょう。この3社とホームレスの特徴は次のようになっています。
・A社……推薦。合格したら就活終了。合格率30%。効用:70
・B社……合格率10%。入社後の出世確率50%。効用:出世→100,非出世→70
・C社……合格率20%。効用:90
・ホームレス……効用:0
ここで、B社とC社の入社試験の日程が被っていて、一社しか受けられないとします。佐藤さんは、どのような行動を取るのが最善だと言えるのでしょうか。
この場合、行動と結果、期待効用を図にまとめると以下のようになります。
期待効用の観点からいうと、A社を受けるときの期待効用が、B社やC社を受ける場合の期待効用よりも高いので、佐藤さんはまずA社の推薦を受けるべきです。そして、A社の推薦に落ちたときには、B社よりも期待効用の高いC社を受けるのがベストな行動と言えるでしょう。
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