2017/07/24
2020/06/17
幾何分布の確率関数からの期待値と分散の導出
当ページでは幾何分布の確率関数から、その期待値と分散の導出を行なっております。式だけではなく、丁寧に解説を加えることで、導出の過程を出来るだけ分かりやすくまとめました。
確率密度関数 | \(f(x)=p(1-p)^{x-1}\) ただし、\(x=1,2,\dotsb\) |
期待値(平均) | \(E[x]=\frac{1}{p}\) |
分散 | \(V[x]=\frac{1-p}{p^2}\) |
積率母関数 | \(\frac{pe^t}{1-(1-p)e^t}\) |
幾何分布とは?
幾何分布(geometric distribution)とは、同じ試行(例:コイン投げなど)を繰り返し行うときに、最初に成功するまでの試行回数を確率変数\(x\)とします。成功の確率を\(p\)、失敗の確率を\(q=1-p\)とすると確率関数は
幾何分布の確率関数は$$f(x)=p(1-p)^{x-1}$$ ただし、\(x=1,2,3,\dotsb\)
幾何分布の期待値の導出
\begin{align}E[x]&=\sum_{x=1}^\infty xp(1-p)^{x-1}\\&=p\sum_{x=1}^\infty x(1-p)^{x-1}\end{align}
ここからは\(\sum\) から先について求めていきます。ここで\(\frac{1}{1-x}\)のマクローリン展開を考えると、
$$\frac{1}{1-x}=1+x+x^2+\cdots=\sum_{k=0}^{\infty} x^k$$
これを両辺\(x\)で微分すると、
$$\frac{1}{(1-x)^2}=\sum_{k=1}^\infty kx^{k-1}$$
ここで上の式に\(x=1-p,k=x\)を代入すると右辺は、
$$\sum_{x=1}^\infty x(1-p)^{x-1} $$
となって最初の式の\(\sum\)以降の式と一致します。よって、期待値は
$$E[x]=p\times \frac{1}{(1-(1-p))^2}=\frac{1}{p}$$
幾何分布の分散の導出
次に分散を求めます。分散を求めるには\(V[x]=E[x^2]-{E[x]}^2\)を利用しますここで2次モーメントを求めるために、階乗モーメントを利用します。
ここで先ほど求めた、
$$\frac{1}{(1-x)^2}=\sum_{k=1}^\infty kx^{k-1}$$
この式をもう一度微分すると、
$$\frac{2}{(1-x)^3}=\sum_{k=2}^\infty k(k-1)x^{k-2}$$
この式に両辺\(x\)をかけて、先ほどのように\(x=1-p,k=x\)を代入すると、
$$\sum x(x-1)(1-p)^{x-1}=\frac{2(1-p)}{p^3}$$
よって、階乗モーメント\(E[x(x-1)]\)は,
$$E[x(x-1)]=p\sum x(x-1)(1-p)^{x-1}=\frac{2(1-p)}{p^2}$$
したがって、分散は
\begin{align}V[x]&=E[x^2]-{E[x]}^2\\&=E[x(x-1)]+E[x]-{E[x]}^2\\&=\frac{2(1-p)}{p^2}+\frac{1}{p}-\frac{1}{p^2}\\&=\frac{1-p}{p^2}\end{align}
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