時系列分析の基礎と代表的モデル

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本ページでは時系列分析の概要、代表的な時系列モデルについて解説をします。

時系列分析とは

時系列分析とは、時間の経過に伴い変化するデータを分析することです。時間の経過とともに観察されたデータのことを時系列データと呼びます。

時系列データの例

・あるコンビニの毎月の売り上げ
・年齢とともに変化する死亡確率
・音声データ
・映像データ

時系列データの扱い方

時系列データは、時間的に連続するという特性を考慮するために特殊な変換がなされることがあります。以下では、時系列データ処理について触れていきます。

原系列

時系列データは原系列とも呼ばれ、式では yt  y_t という形で表されることが多いです。

原系列の「原」は「処理される前」という意味で用いられています。

差分系列、階差系列

一時点前のデータとの差をとった時系列データのことを差分系列、階差系列と呼びます。

例えば,、株価が1日でどれだけ変化しているかについて分析したいとします。このときは、時間差をとった株価のデータ ytyt1=Δyt  y_t - y_{t - 1} = {\Delta}y_t を用いるとよいでしょう。

対数系列

対数変換された時系列データは対数系列と呼ばます。数式ではlog(yt) log(y_t) と表します。

対数系列は、バラツキが大きすぎる時系列データを扱いやすくするために用います。

例えば、ビットコインの価格などの極端な動きをするデータに対数系列を用います。

対数差分系列

例えば、ビットコインの価格が時間によってどれだけ変化しているか、その変化率について分析したいとしましょう。

そんなときに用いるのが対数差分系列です。

Δlog(yt)Δlog(yt1) {\Delta}log(y_t ) - {\Delta}log(y_{t-1} ) と表すこともできます。この対数差分系列は、変化率  ytyt1 yt1 \frac{  y_t - y_{t - 1} }{ y_{t - 1} } を近似したものになっています。

季節調整系列

季節変動の影響を受けるデータは、季節の影響を解消するための調整が行われます。このような調整が行われたデータを季節調整系列と呼びます。

時系列モデルについて

 時系列分析モデルについて簡単な説明とともに紹介します。

ARモデル(自己回帰モデル)

ある時点のデータを過去のデータを用いて回帰するのがARモデルです。

例えば、今日の株価を昨日の株価を用いて単回帰したモデルはARモデルです。今日の株価を昨日と一昨日の株価を用いて重回帰したモデルもまたARモデルです。

MAモデル(移動平均モデル)

ある時点のデータが時間によって生成された乱数の線形和で表されるのがMAモデルです。

今日のデータが過去に発生した複数のランダムな数の加重和になっているとイメージすると、MAモデルの雰囲気を理解できます。

ARMAモデル、ARIMAモデル、SARIMAモデル

ARモデルとMAモデルを組み合わせたのがARMAモデルです。

ARIMAモデルでは、ARMAモデルに加えてデータの差分を取ります。SARIMAモデルは、ARIMAモデルに季節変動を考慮します。

ARMAモデル群はARモデル、MAモデルを組み合わせたものとして理解できます。

ARCHモデル、GARCHモデル

時間によって変化するボラティリティ(標準偏差)の動きを表したい時用いられるのがARCH、GARCHモデルです。

状態空間モデル

「状態」と「観測値」の2つについて考える時系列モデルです。時間とともに変化する「状態」に対して、「観測値」が決まるモデルとイメージするとよいでしょう。

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カテゴリ: 時系列分析

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