2016/08/17

2020/04/14

統計学とは?どのような学問か5分で理解する

統計学の基礎

ライター:

統計学とはそもそもどのような学問なのか。どのような場面で使われているのか。ということについてまとめました。これを読んで少しでも統計学に興味を持ってくれる人がいると幸いです。

統計学とは

統計学とは、ある1つの群のデータに対してその性質を調べたり、あるいは手持ちのデータからもっと大きな未知のデータや未来のデータを推測するための学問です。

我々は、この情報化が進む社会の中で、様々な情報(データ)を得ることが出来ます。しかし、データはそのままでは理解しにくく、役に立たないものもあります。それらのデータは、分かりやすい表現に置き換えて、初めて理解できるものに変わり、「生きる」のです。そのデータを「生かす」ために必要なのが統計学です。

具体例

例えば”平均身長”というのは統計学が使われている良い例です。ここで、日本人の身長とアメリカ人の身長を比べたいとしましょう。まずは、それぞれ1万人ずつ身長の調査をすることにします。

さて、下図のように結果を並べただけで、日本人とアメリカ人の身長を比較することは出来るのでしょうか?出来ないですよね。なぜか?データが大きすぎて、見比べようにもどこを見たらいいか分からないからです。こうなると、何かデータを代表するような値が欲しくなります。そこで登場するのが”平均身長”なわけです。バラバラなデータ

それを計算して、「日本人の平均身長は170cmでアメリカ人の平均身長は175cmだ!」と分かると、「なるほど、アメリカ人の方が日本人より5cmくらい高いんだな」という比較がかないます。

この例は、平均値を求めただけですが、分かりにくい大きなデータをたった一つの値で分かりやすく表現することが出来ました。このようにデータを分かりやすくするということが統計学の基本となります。

さらにこの場合、仮説検定と呼ばれる統計手法を使えば、「日本人とアメリカ人の身長に差異(違い)は見られるのか」ということについて検証することもできます。つまりたった1万人の平均身長が5㎝違うだけで、「日本人とアメリカ人ではアメリカ人の方が背が高い傾向にある」と言えるのかということです。1万人というのは、多いようで国の人口に比べたら遥かに少ない人数です。1万人のみの身長データは、「アメリカ人は日本人よりも背が高い」と断言するのに十分でしょうか。ほんとはここで話したいところですが、仮説検定については話すと長くなるので、また別ページにて紹介いたします。

統計学の種類

ひとえに統計学といっても様々な種類があります。代表的なものは次の3つになります。

1.記述統計学

2.推計統計学

3.ベイズ統計学

それぞれ別ページで解説しているので、興味のある方は合わせてお読みください。ちなみに先ほどの身長の例では推計統計学と記述統計学を使っています。

近年、統計学が注目を浴びているのはなぜか?

統計学は近年になってますます注目を浴びるようになりました。その理由は、コンピューターの発展が大きく関係しています。

統計学という学問はずーっと昔からありました。しかしそれは、「ただ考え方があるだけ」にすぎませんでした。データを解析するための機器がなかったのです。解析するには人間が紙に計算式を書いて計算をする必要があり、膨大な労力と時間が費やされていました。そのため実際には今ほど役に立たず、学問の発展も滞っていました。

しかし、統計学はコンピューターの登場とともに急激に注目され始めました。面倒な計算をコンピューターにやらせるというわけです。

最近では「ビッグデータ」という考え方もあります。今までは膨大すぎて処理することのできなかったデータがコンピューターの発展により処理が可能になりました。それにより、これまでは価値のなかったデータから様々な分析を行えるようになりました。ここ数年で、統計学を使う場面は飛躍的に多くなりました。

そして、実用化とともに統計学の有用性が認められるようになりました。特にビッグデータが経営やマーケティングに多大な成果をもたらしたことが、それを強く後押ししました。これまで、人の感覚値によることが多かった分野においても実際のデータに基づいた統計的分析をすることで確実な成果を生むようになりました。

統計学が実際に利用されている、身近な事例

例えば、高校生のセンター模擬試験の成績表には、本番のセンター試験の点数の換算得点(推定値)が載っています。

この予測は適当に決めているわけではありません。去年や一昨年やもっと前の年の人たちの模擬試験とセンター試験の得点のデータを実際に複合的に考え、統計学的な手法を用いて今年の人たちの点数の予測値を算出しているのです。

統計学のさらなる発展

統計学は近年急激に発展し始めた学問です。我々が中学高校、そして大学で学ぶ統計学は1925年にロナルド・フィッシャーがその基礎を築きました。つまり、登場してまだ90年しか経っていないという学問です。日本の大学でも統計学を研究する研究室は少なく、まだまだ比較的マイナーな学問であることは否めません。しかし、これから間違いなくさらなる発展をしていく学問だと言われています。

Googleのチーフエコノミストである、ハル・バリアン氏は「統計家はこれから先、最も魅力的な職業になる」と発言し、Googleの採用では統計学の知識を持つ人を重点的に採用するとしています。

また、西内啓著の『統計学が最強の学問である』という統計学の有用性を示した本は40万部を突破し、多くの人々に読まれています。

さらに、1950年に登場したベイズ確率の考え方は、機械学習や人工知能の分野の発展に大きく貢献しています。

これらの、発言や実績を見ると、「統計学にはまだまだ大きな可能性が残っているんだ」という風に感じさせられます。

まとめ

いかがでしたでしょうか?統計学がどのような学問であるか、そしてその有用性についてご理解いただけましたでしょうか。そして、統計学はまだまだ発展途上の学問であるということ。間違いなく、ますます注目され始める分野の一つです。是非、統計的な考え方を身に着けて、情報化社会を生き抜く武器にしたいものですね。

また、統計学の起源や発展についてさらに詳しく知りたい方は、歴史のページをまとめましたのでこちらもどうぞ!

(totalcount 108,879 回, dailycount 264回 , overallcount 13,931,335 回)

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