2022/07/11

2022/07/08

丸紅、デジタル人材育成企画「デジチャレ」を実施! 分かる技術から使える技術へ、中期経営戦略をDXで加速

AI REPORT, インタビュー

ライター:

「DX」は、国内において掲げていない企業は無いと言っていいほど定着した言葉になっているが、概念的な言葉なだけに実践に難しさを感じる企業も少なくない。そんな中で、大手総合商社である丸紅がグループの戦略として「GC2021>>DX」を掲げ、グループ一体となってDX戦略を推進し長期的な企業価値向上を目指している。

具体的なDX戦略の基礎となる施策として、ビジネスナレッジだけでなくデータサイエンス・デザイン思考を併せ持つデジタル人財基盤の計画的な拡充、安全・安定・便利かつ柔軟なITインフラの提供が必要だと考え、人財育成においては「丸紅デジタルチャレンジ(デジチャレ)」などを通じて2023年までにデジタル人材200人の育成を目標に掲げた。

今回は、デジチャレについて主管運営部門であるデジタル・イノベーション室の大倉 耕之介氏、芦川 裕也氏と、デジチャレ参加者の本田 美紗氏にインタビューを実施することができた。


(左から)大倉氏、本田氏、芦川氏

丸紅グループのDX戦略と具体的な施策

–まずは、改めて丸紅グループのDX戦略の概要をお聞かせください。

大倉氏
当社のDX戦略は、DXを独立したものとしてデジタル技術を利用して何か新たな施策に取り組むのではなく、各営業本部の事業戦略を重視するということを基本においています。会社としての戦略として中期経営戦略や目指す姿としての「Global crossvalue platform」というものがあるので、それを加速させる手段がデジタルだと考えているわけです。
当社は事業領域が広いため、全社的に取り組むのはデジタル人財基盤の育成・IT基盤の構築であり、一方ビジネス面では営業本部単位に事業戦略があって、その中に各本部単位のDX戦略があるという構造になっています。

–すでに事業レベルで実施できているDX事例などを教えていただけますか?

大倉氏
事例は「GC2021>>DX」にも掲載している通り、当社の収益の大きな部分を占めている鉱山関連のビジネスではデジタル活用を先進的に取り組んでいます。鉱山というのは人里離れた遠方にあり、常に人手不足という課題を抱えているため、ダンプトラックの無人化・ダイナマイトの発破自動化・採掘/選別したものを専用の鉄道を引いて港まで持っていく物流等、最初から最後までデジタルで可視化してオペレーションを外部から遠隔実施するなどにより、可能な限り省力化することで、働く人の幸福度を高め、各種コストも減らすことを可能としています。
その他には、農業DXソリューション・中古車ファイナンスのデータ分析・母子手帳アプリの展開等もあり、それぞれ事例として掲載しています。

参照:GC2021>>DX

–そのような中で「デジチャレ」の実施に至った背景などをお聞かせいただけますか?

芦川氏
2017年あたりからAI・データサイエンス分野を中心に個別研修を始めていて、当初はAIの基礎から始めました。2019年になるとR等のソフトを使って分析する20-30人向けの個別研修を実施しましたが、個別研修をいくら重ねてもスポットの研修ではどうしても実務的な部分につながらないため、より実務につながるように、より実践的な内容で技術を学べるように当社の実ビジネスを題材にしたテーマやデータに取り組む形式でやっていくべきだと考え、2020年より『「分かる技術」から「使える技術」に変える』をコンセプトに丸紅デジタルチャレンジ(通称デジチャレ)を開始しました。

デジチャレ実施に向けての準備

—今回は2回目の取り組みだと聞いていますが、どのように企画を進めたのでしょうか?

芦川氏
2020年度に第1回を終えた中で、もっとこうしてほしいというポジティブな意見が予想以上に多く出てきており、大きく改善するためにテーマ設定や難易度の細かい部分の調整をしました。第1回は難易度をどの程度にすれば良いのか私たちも悩みながらだったため、脱落者も一定は出てしまいました。ある程度の難易度を設定すると、それに見合うレベルの人たちを揃える必要があるわけですが、どちらかというと意欲を買って参加してもらった方が多く、そこにミスマッチが生じたわけです。そのため、第2回は難易度もバラエティーを増やして、事前学習のコンテンツなども充実させました。

—2回目での参加者の募集について工夫した点などはありますか?

芦川氏
基本的に学習意欲のある人であれば誰でもウェルカムではあるものの、事前学習を必須にしました。まさにAVILENさんのサービスを使わせていただき、例えばPythonや統計の基礎は数十時間レベルの学習を必須にして、キチンと理解したうえで参加してもらうということで、一段階ハードルを設けたことでミスマッチはある程度解消できたのかなと思います。第1回の時は推薦図書や推奨動画をアナウンスはしましたが、あくまでも任意という扱いで性善説に基づいてやっていたので、その点は大きな違いです。

具体的な開催期間や運営などについて

–実際の開催期間や時期などを教えてください。

芦川氏
2021年度の第2回は、構想を4-5月くらいから始めて、7月から説明会を開催、8-9月あたりが事前学習期間、10月に参加者を決定して1月までの3ヶ月半ほどで各参加者が課題に対するモデル構築にチャレンジ、その中で優秀者を数名選出して3月に最終発表会を実施したという流れです。

— 実際に開催してみて、ご苦労なされた点などは無かったですか?

芦川氏
当初から覚悟はしていましたが、参加者への個別フォローは予想以上に必要で次回以降も苦労はするだろうなと思います。参加意欲もレベル感もバラバラな中で、あと一押しすれば最後のゴールまでたどり着ける層がメジャーだと思うので、逆に言うと、きちんとフォローしないと脱落者が増えてしまいますから、運営側も全力でサポートする必要があります。あとは、声掛けするにもフレンドリーにというのは事務局一同意識している点です。デジチャレは高度なことというより全体の底上げだと思っていますし、むしろ事務局がしっかりフォローしていくことが運営していくうえで重視しているポイントです。2021年度からは事業会社の方も参加しはじめている中で、個人と個人の関係構築から始める部分もあります。

デジチャレ参加者の声

–参加に至った背景や想いなど、少し思い出していただけますか?

本田氏
AIや機会学習というものが全く分からず、プログラミングと聞いただけで引いてしまうくらい馴染みが無かったのですが、そんな中、デジチャレの案内を見て、会社がやってくれるなら参加しようかなと思ったのがきっかけです。勉強できるならラッキーという感じでした(笑)。

–実際に参加してみていかがでしたか?

本田氏
普通は目標が無いと中々難しいと思いますが、デジチャレは成果物提出があるので、その目標がある分すごく取り組みやすかったです。また、先ほども出ていた「分かる技術」から「使える技術」という部分に共感しており、単に座学だけでなく、スパっと答えが無い課題に対して、ああでもないこうでもないと考えるのが私は楽しかったです。自分はこういう答えが出したい、そのためにはどうしたらいいのだろうというアプローチで調べたり勉強していくことで身についたことが沢山あったので、手前味噌ですが「使える技術」になったと実感しています 。

–今後、どのように実務に活かそうとお考えでしょうか?

本田氏
足元では業務に活用というところまでは行けてないのですが、確実に自分の中の引き出しや強みとしては持てたかなとは思いますが、使わないと忘れてしまうので、活用の機会があればまたチャレンジしたいと思います。また、実務というわけではないですが、Kaggleのようなプログラムにも今後はチャレンジしてみようかなとも考えています。

今後のDXの展望や取り組みについて

–足元のDX施策や次回デジチャレなど、お話いただける範囲で計画など教えてください。

大倉氏
2022年~2024年までの中期経営戦略3年計画は、実行フェーズだと位置づけており、我々としてもデジタルの取り組みで実行を加速させていく予定です。一つ前の中期経営戦略期間では、各営業本部でDX戦略を策定しており、これに伴い各本部からデジタル・イノベーション室への問い合わせが大幅に増えています。それらを一つでも二つでも実装に向けて進めていけるようにしていきたいと思っています。

芦川氏
もちろんデジチャレは今年もやる予定で、今は説明会の準備をしているような状況です。これまでは、AI・データサイエンス・最適化あたりが中心だったのですが、アプリ関係やEC構築等の要望が多く上がってきており、特にBtoCビジネスが中心の部署ですと顧客接点を持つということに関心が強いので、アプリ領域のコースなども作ってデジチャレの幅を広げていきたいと考えています。あとは、人事部とも連携してデジチャレの修了者がスキルを活かせる仕組み作りにも着手していく予定です。

–同じくDX推進を担当する方、そんな方たちへ向けてメッセージをお願いします。

大倉氏
DX推進は、効率化だけでなく、新規事業創出までスコープに入ってくると非常に難易度が上がってくると思います。結果も見えない、説明も苦労する、社内のプレッシャーも強いなど色々なハードルがあります。そもそもデジタルを抜きにしても新事業を作っていくというのは5年10年かかるものなので、中長期的な目線で取り組める仲間を増やしていっていただければと思いますし、私自身も仲間をもっと増やしていきたいと思っています。我々の部署も前身含めて6年程度になりますが、社内ではいまだにどのような役割・機能があるか知らないという人もいたりしますが、何より認知を得て接点を作っていく・サポーターを増やしていくことが重要だと考えていますので、DXを推進する皆さんにも広報活動をがんばってくださいと伝えたいです。

まとめ

実際にインタビューを実施して見えてきたことは、DX推進のあるべき姿を基本に忠実に実行していることだ。戦略を策定し実行するには人材の育成も必要で、デジタルへの底上げは国内各社の課題であることは言うまでもない。何か突拍子もないことをしてるわけではなく、デジタルに妙な期待を持たせているわけでもなく、地に足をつけ純粋に必要だと思えることを着実に実行している姿は各社見習うべき点が多くあるはずだ。

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