2020/08/26

【独占】ABEJA佐久間氏「DX加速させたい」-AI導入・活用支援の実績250社超

インタビュー

ライター:

新型コロナウイルスの感染拡大という全人類にとって未曾有の状況が続く中、企業が直面する課題を解決するため、デジタルトランスフォーメーション(DX)の重要性を提唱する企業がある。ディープラーニング(深層学習)をはじめとする人工知能(AI)の社会実装事業を展開するABEJAだ。

 

製造、物流、小売など250社を超える企業のDXを支援してきたABEJAは5月末、新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、「ABEJAが目指すこれからのDX」と題する見解を発表。「社会的な存在として個人のあり方を考える必要性の高まり」、「ゆとり(予備)の重要性の高まり」、「戦後最大の経済危機」という三つの大きな変化に対応するために、今こそDXを強く推進するべきだと唱えている。

ABEJA Platformでビジネス自動化

ABEJAの主力プロダクトの一つは、AIのビジネス実装を加速させるプラットフォーム「ABEJA Platform」。 「ABEJA Platform」はAIを活用するための、①データ取得、②データ蓄積、③学習、④デプロイ、⑤推論・再学習--という5つの運用サイクルの大幅な省力化・自動化を可能にする。

 

「ABEJA Platform」は、汎用的なタスクであればプログラミングが不要で、AIモデルの開発から運用ができる。データづくりに最適なアノテーション機能や、人間がAIの精度を補いながらAI運用をスタートするためのBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)のリソースを備えており、オペレーションコストを5割以上削減した事例もあるという。

ユースケースを積み上げ-PaaS事業

ABEJAのPaaS事業部のDirector、佐久間隆介氏はこのほど、AVILEN AI Trendのインタビューに応じ、主力事業の一つであるPaaS事業について、「ユースケースを積み上げていくことで、日本のDXを加速させていきたい」と語った。

――主力事業は?

ABEJAにはPaaS事業とSaaS事業の二つがあり、今回は主力事業の一つとしてPaaS事業部についてご紹介します。一般の方に分かりやすいように言いますと、PaaS事業部は、企業のDXの実現を支援しています。

ABEJAはDXを「サイバー空間上に業務を移管し運用することで、経営インパクトを起こす行為」であると定義しています。

PaaS事業部では、お客さまのDXを推進するために、AI戦略立案からAI実装、運用に至るまで一気通貫したAIの導入、活用支援を行なっています。

強みはお客さまの課題に合わせて最適なAIソリューションをカスタマイズされた形で提供できる点です。

これまで250社以上の企業にAIを導入してきた中で、AIやIoT、ビッグデータに関するノウハウを蓄積してきました。また、小売業向けにカメラから習得したデータを解析するSaaSを提供していることもあり、画像やリアルデータには強みを持っています。

最近、デジタル会議など、オンラインで仕事をするお客さまが結構増えてきた影響もあり、自然言語処理系の活用場面も増えています。

また、もう一つの強みはプラットフォームとデジタルオペレーションを支援する仕組みの部分を兼ね備えてるところです。

プラットフォームとは前述の通り「ABEJA Platform」を活用いただくことで、お客さまはモデルを実業務に適用するためのリードタイムを短縮し、AI実装をより加速することができます。

デジタルオペレーションはいわばサイバー空間上のカイゼンと弊社はうたっております。業務を遂行しながら、デジタル技術の精度や性能を向上させる取り組みです。

ABEJAは、教師データを作成するアノテーション作業や人間がAIの精度を補いながらAI運用を実現するためのBPOリソースを備えていますデータの前処理から実装後までお客さまとお付き合いできるところが強みです。

――サービスの提供先は?

公表している数字として、PaaS事業とSaaS事業合算でこれまで250社以上のAI活用を支援しています。

PaaS事業部がサービスと提供しているお客さまの業界は、製造・物流・小売・金融・ヘルスケア・エンタメなどさまざまです。

――PaaS事業部の規模は?

2019年8月末時点の社員数が82人で、そのうちPaaS事業部のメンバーは約40人です。

投資対効果あるAI導入が可能

――ご苦労なさっている点は?

一つ目は、多くの企業経営者の方がデジタルトランスフォーメーション(DX)の重要性を深く理解されている一方で、一部の方々には「AIは高級な投資」「AIは金食い虫」であるという認識があるということです。

終わりのないPoC(概念実証)を繰り返し、いつまで経っても実運用に入ることができない状態を指す「PoC貧乏」という言葉はありますが、確かにこうした状態に陥る企業は少なくありませんでした。

ですが、私たちは企業のバリューチェーンの中で本当に投資すべき部分を見極め、正しい課題設定をすることで、DXの実現、ひいては投資対効果のあるAI導入が可能であると思っています。なので、私たちは「お客様がAIを使って実現したいことは何か」「実現すべきことは何か」の部分に時間をかけて向き合います。

二つ目は、お客さまの実現したいことに必要なデータが集まっていないケースが多いことです。良質なAIモデルをつくるためには良質なデータが一定量必要です。お客様が「こういうことをしたい」と明確な課題設定ができている場合であっても、それに必要なデータが収集できておらず、それがAI導入のボトルネックになっていることが往々にしてあります。

AIは魔法の杖ではない-改善の積み重ねが重要

そう少なくない数のお客様が、AIを「魔法の杖」のように思っており、それによる期待値ギャップが生まれることも多くあります。

先ほどのデータ不足の問題を例にとると、現実のオペレーションにAIを導入するためには、まずカメラやセンサーなどのIoTデバイスを使って、現実世界の業務をデジタルデータに変換する必要があります。

一定量のデータを収集するためには、当然ある程度時間がかかりますが、お客様から「思ったよりも時間がかかるのですね」といった反応をいただくことも少なくありません。

ABEJAでは、AIモデルの精度が高くなくとも運用がスタートできるような導入方法を取ることを推奨しています。精度が足りない分については、人間が確認することで業務の質を担保します。

そうして、サイバー空間上でAIと人間が協力しながら、モデルの精度を向上するために必要なデータを追加で収集し、モデルの精度を徐々にあげていくのです。

AIのイメージとは程遠い、地道なことのように思えるかもしれませんが、こうした積み重ねによりAIによる運用の自動化に近づいていくことができ、真にDXを実現できるのです。

AIの限界、利便性をさらに発信したい

具体的な話しを含めながらしっかりお話をすると、AIの限界、AIの利便性の両面を理解していただけます。われわれは、もっとこうしたことをお客さまに伝えていく努力をしていくべきだなと思っています。

利用される方々に対して、もっと言葉を尽くして、いろいろな業務のシーンを具体的に説明、発信してまいります。そのためにも、PaaS事業部が先陣を切って、さまざまなユースケースを、実際の案件としてつくっていくことが大事だと思います。250社に飽き足らず、もっと多くのお客さまとユースケースを重ねていこうと思っています。

佐久間隆介(さくま りゅうすけ)氏

株式会社ABEJA
PaaS事業部
Director

  • 慶應義塾大学 法学部法律学科卒
  • アビームコンサルティング(当時デロイトトーマツコンサルティング)に入社。2014年より最年少執行役員。DX戦略、新規事業戦略などの戦略コンサルティング、組織・人事制度改革などの経営改革プロジェクト、大規模基幹業務システム・BIシステムなどのIT導入に従事
  • 2019年よりABEJAに参画し、グローバル展開に従事後、事業責任者

 

(totalcount 325 回, dailycount 18回 , overallcount 2,495,243 回)

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