2020/08/05
2022/11/17
【独占】企業と求職者のマッチングAI、8月リリースへ-モアビジョン平川代表
人工知能(AI)を活用して、企業と求職者のマッチングを支援する企業がある。人材採用システムの企画・設計・開発・販売などを手掛けるMoreVision(モアビジョン)だ。
現在、就職や転職の活動をサポートする企業分析AI「AiMi」を無料公開しているモアビジョンの平川敏章代表取締役はこのほど、AVILEN AI Trendのインタビューに応じ、求職者と企業のマッチングを支援するAIを開発中で、8月にリリースする考えを明らかにした。
目次
米MIT博士号持つデータサイエンティストが開発中
――モアビジョン設立とマッチングAIを開発するに至るきっかけは?
就職活動中の学生の相談に乗って、「君はこういうタイプだね」とか、「君はこういうところを大事にしているから、こういった企業が合うかもしれないね」とか、「こういう業界が合うかもしれないね」ということをAIで将来的に実現するシステムをつくりたいと思い、モアビジョンという会社を設立しました。
このシステム、現在、鋭意開発中です。知人が経営する会社で、米マサチューセッツ工科大学(MIT)の博士号を持つ優秀なデータサイエンティストの方に手伝ってもらっています。その会社からもモアビジョンに出資をしていただいています。
その出資資金を開発資金として、学生の情報と、各企業の情報を集めて、マッチングを判断するシステムを作りたいと思ったのです。
「AiMi」無料公開中-就活支援の企業分析AI
現在、就活・転職活動をサポートする企業分析AI「AiMi」を提供しています。学生に対して提供しているサービスです。インスタグラム上で、主要企業の「仕事のやりがい満足度」や「報酬満足度」「成長実感満足度」などの情報を見ることができます。
AiMiは、8月にローンチしようとしているシステムの一機能を切り出して見せているイメージです。
――マッチングAIのリリース時期と提供先、収益モデルは?
8月中を目指しています。今回ローンチするシステムでは、学生の適性診断をもとにした情報と、企業の公開・非公開を含む情報とを集め、その両者を分析することでマッチングに近づけるという趣旨で開発を進めています。
マッチングプラットフォームなので、提供先は企業と学生の両者になります。企業に対しての掲載と、学生には登録していただく形になります。
学生は無料で、企業は有料ということを考えています。
自然言語処理で分析
――マッチングAIのデータ収集とアルゴリズムは?
人気企業や新卒採用を積極的にしているような企業は、ホームページや、一部の口コミサイトなども含みますが、言語情報が豊富にありますので、それを自然言語処理をして、そこに対して機械学習を行ってマッチングをしていくということです。
最初のうちは、当然人間がキーワードをピックアップしなければなりませんが、関連ワードをはじいたり、もしくはどういう学生がどういう企業に合うと言っているかという情報を基に、どんどん学習させて、より精度の高い分析をしていきたいと思っています。
AIがヒトの意思決定をサポート
――マッチングAIを開発・提供する狙いは?
AIを使う狙いは、要は学生って就活でいろんな会社を見ることになるのですが、例えば大手ナビサイトに掲載されている会社の数は2万社以上もあるので、学生が全部見ることはとてもできません。業種などである程度絞り込みを行っても千社以上、ということがざらにあります。選択肢が多すぎて選べない、いわゆる「選択のパラドックス」の状態ですね。
そうなると、有名企業や評判のいい企業だけを見て、「よく分からないけれど、受かったから行ってみよう」となってしまいがちです。そうやって自分自身に納得感がない意思決定をすると、入社後に「ちょっと違うから、辞めます」ということにもつながりやすいのではないかと考えています。
20~30社をお薦め
「AIが人間の意思決定をサポートする」、そんな共存の仕方がいいと思っています。世の中に数万社もあるたくさんの企業の情報を学生が全部見るわけにいきませんから、その中から、ある程度セグメントして、「こんなところがいいのではないですか」という企業をお薦めできれば、学生と企業にとってハッピーではないかというのがもともとの発想です。
一方で、AIが「ぜひここに行きなさい」と提案してしまうと、ある意味職業選択の自由が失われてしまうようなことになると思うので、AIはそういう使われ方をしてほしくないと思っています。
あくまで、しかるべき20社くらいの候補企業を「こんなところから見てみたらいいのではないですか」とお薦めするコンシェルジュとか、相談相手のような使われ方をしてもらいたという思いでいます。
――マッチングAIの利用者が入力する項目は?
最初のリリースのタイミングでは、学生側はテキストでつらつら「自分はこういう人間です」と書くのではなく、いわゆる適性診断のようなものを受けてもらおうと思っています。50問程度の適性検査を受けてもらうことで、この学生はこういうタイプで、人と話すのが好きだとか、論理性が高いとか、いろいろなタイプを判別することができます。
――マッチングAIで、企業はどのように表示されるのですか?
どういう企業がマッチするのかということについて、最初は20社程度をランキング形式で表示します。
対象企業数はゆくゆくは1万社を目指したいと思っているのですが、最初は1000社ぐらいから始めたいと思っています。
――企業へのアプローチは?
学生のユーザー数が伸びてきたら、「今、学生はこういうAIを使っていますけれども、御社もこのプラットフォームを利用しませんか」というお声掛け、営業を順次していくつもりです。
平川敏章(ひらかわ としあき)氏
株式会社モアビジョン 代表取締役
株式会社ヴィジブルート 代表取締役CEO
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