2016/09/06
2020/05/05
積率母関数を用いた正規分布の平均・分散の導出
確率密度関数 | f(X)=1√2πσ2exp[−(x−μ)22σ2] |
期待値 | E(X)=μ |
分散 | V(X)=σ2 |
標準偏差 | SD(X)=σ |
積率母関数 | eμt+σ2t22 |
当ページは積率母関数(モーメント母関数)から正規分布の平均・分散の導出(証明)過程を記しています。確率密度関数からの導出を読みたい人は、正規分布の平均・分散・標準偏差の導出のページをご覧ください。
また、正規分布の性質についてはこちらに記述しております。
そもそも積率母関数ってなんなの?という人は、積率母関数とは?モーメントの求め方も解説をご覧下さい。
正規分布の積率母関数の導出
mX(t)=E(etX)=∫∞–∞etxf(x)dx=∫∞–∞1√2πσ2exp[−(x−μ)22σ2+tx]dx=∫∞–∞1√2πσ2exp[−12σ2(x2−2μx+μ2−2σ2tx)]dx=∫∞–∞1√2πσ2exp[−12σ2((x−(μ+σ2t))2+2μσ2t+σ4t2)]dx=∫∞–∞1√2πσ2exp[−(x−(μ+σ2t))22σ2+μt+σ2t22]dx=eμt+σ2t22∫∞–∞1√2πσ2exp[−(x−(μ+σ2t))22σ2]dx=eμt+σ2t22
1√2πσ2exp[−(x−(μ+σ2t))22σ2]
のμ+σ2tをμ′とおくと、
1√2πσ2exp[−(x−μ‘)22σ2]
となる。
これは平均がμ‘、分散がσ2の正規分布の確率密度関数である。よって、
∫∞–∞1√2πσ2exp[−(x−(μ+σ2t))22σ2]dx=1
となる。これは、確率密度関数を確率変数がとりうる値において全て足しあわせた値であるためである。
(ある事象における全ての確率を足すと1になることと同義)
積率母関数を用いた期待値の導出
E(X)=dmx(t)dt|t=0=(μt+σ2t22)′eμt+σ2t22|t=0=(μ+σ2t)eμt+σ2t22|t=0=μ+σ2t|t=0=μ
積率母関数を用いた分散の導出
E(X2)=d2mx(t)dt2|t=0=(μ+σ2t)′eμt+σ2t22+(μ+σ2t)2eμt+σ2t22|t=0=σ2+(μ+σ2t)2|t=0=σ2+μ2V(X)=E(X2)−(E(X))2=σ2+μ2−μ2=σ2
(正規分布についてさらに詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。)
名無し 2017.7.30 4:02 AM
積率母関数のdxが途中から消えてますよ。
y0he1 2017.7.30 11:30 AM
ご指摘ありがとうございます。
修正させていただきました。
ヘンリー 2017.10.2 3:45 AM
積率母関数の7行目から8行目は、インテグラル以降が確率の公理から1になるという話だと思います。μではなく、μ-σ^2でも成り立つ理由を備考に入れて頂けると何よりです。
y0he1 2017.10.4 1:22 AM
ご指摘ありがとうございます。私も初めてこの辺りを勉強した時に理解に苦しんだ記憶があります。
積率母関数の7行目のインテグラルの中が「平均μ-σ^2、分散がσ^2の正規分布の密度関数になる」旨の説明を追加させていただきました。