2020/10/14

JDLAとは?G検定、E資格の認定プログラム、合格者の会など紹介!

AI人材関連

ライター:

日本ディープラーニング協会(JDLA)は、ディープラーニング(深層学習)技術で日本の産業競争力の向上を目指す団体だ。

 

人工知能(AI)技術は日進月歩で進化を続け、今ではインターネットやテレビ、新聞、雑誌などでAIにまつわる情報を見聞きしない日はない。

 

世の中に初めてAI(Artificial Intelligence)という言葉が登場したのが1956年。それ以来、1950代後半~60年代の「第1次AIブーム」、80年代の「第2次AIブーム」を経て、2010年代にスタートした「第3次AIブーム」は現在も進行中だ。

 

「第3次AIブーム」の中核となっているのがディープラーニング(深層学習)という技術。このディープラーニングの活用を普及させるために2017年に設立されたのが一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)だ。

 

JDLAはどのような組織で、どのような活動を行い、どのような責任を担っているのか--。AVILEN AI Trendが掘り下げて検証する。

JDLA(日本ディープラーニング協会)とは?

理念

JDLAは、Japan Deep Learning Associationの略で、「一般社団法人 日本ディープラーニング協会」を指す。

 

JDLAは、ディープラーニングを中心とする技術で日本の産業競争力の向上を目指して設立された団体だ。JDLAの理念は、AI技術、特にディープラーニングを活用できるAI人材(機械学習エンジニアやデータサイエンティストなど)を育成することだ。

 

JDLAの理事長を務めるのが、日本でAI研究の第一人者と言われる東京大学大学院の松尾豊教授だ。松尾氏はJDLA公式ウェブサイトで、ディープラーニングは「ものづくりと相性がよい」ことから好機だと指摘し、日本でのディープラーニング産業の早期拡大に向けて、人材育成の重要性を唱えている。

 

松尾氏が人工知能の全体像やディープラーニングなどを広く紹介した著書「人工知能は人間を超えるか -ディープラーニングの先にあるもの」(2015年、角川EPUB選書)は、「AI入門書」的な書籍として幅広い層に読まれている。

 

また、松尾氏が率いる東大松尾研究室(松尾研)は、ディープラーニング研究にとどまらず、企業との連携や起業家育成に積極的にも取り組んでいる。

 

ディープラーニング

ディープラーニング(深層学習)は、人間が自然に行うタスクをコンピューターに学習させる機械学習の手法の一つだ。人間が特徴量を手動で作成する必要はなく、大量のデータはディープラーニングのアルゴリズムに入力され、コンピューターが出力を決定するために最も最適な特徴量を自動的に学習するという点が最大の特徴だ。

5つの活動-産業活用促進、人材育成など

JDLAはこのディープラーニング技術を事業の柱に据える団体や企業や有識者らが中心となり、「産業活用促進」「人材育成」「社会提言」「国際連携」「理解促進」という5つの活動を積極的に展開。とりわけ「人材育成」に力を注いでいる。

 

 

 

活用促進
  • イベント開催
  • 各分野のワーキンググループが課題解決を企図
人材育成
  • ジェネラリストとエンジニアの育成
  • スキルセットの定義と資格試験の運営
社会提言
  • 公的機関・産業界に対する倫理的な提言
国際連携
  • 海外の取り組みを国内に発信
  • 国内の活動を海外に発信
理解促進
  • AIに対する正しい理解を促すための情報発信

会員は正・有識者・賛助の3種類

JDLAの会員は正会員、有識者正会員、賛助会員の3種類で構成。ディープラーニング事業を核とする企業のほか、ディープラーニングに関わる研究や人材育成に注力している有識者、正会員2社(人)以上の推薦プラス理事会の承認を経て入会資格を得る。

 

会員は理事、委員として協会を運営、総会への出席(議決権あり) などの活動を行う。 

正会員企業

ABEJA Aidemy
Alogage AnyTech
AVILEN ブレインパッド
調和技研 connectome.design
ディープコア エッジテクノロジー
FiNC Technologies GAUSS
GHELIA GRID
HEROZ
IGPIビジネスアナリティクス
&インテリジェンス
イクシス
KUNO Liaro
MUSASHI AI NABLAS
ニューラルポケット エヌビディア
ペカラジャパン PKSHA Technology
SECURE SENSY
スキルアップAI tiwaki
zero to one

 

正会員企業のほか、有識者の正会員や、賛助会員も参画。AI・ディープラーニングの研究・開発はもとより、ビジネスでのAI利活用やAI人材育成に携わる個人、法人、団体が名を連ねる。

有識者正会員(敬称略)

浅川伸一
東京女子大学情報 処理センター 博士
石川冬樹
国立情報学研究所 アーキテクチャ科学研究系 准教授
先端ソフトウェア工学・国際研究センター
副センター長
江間有沙
東京大学 未来ビジョン研究センター 特任講師
岡谷貴之
東北大学大学院 情報科学研究科 教授
尾形哲也
早稲田大学 基幹理工学部表現工学科 教授
柿沼太一
弁護士法人STORIA法律事務所 代表パートナー弁護士
北野宏明
ソニーコンピュータサイエンス研究所 代表取締役社長兼所長
システム・バイオロジー研究機構
会長
顧 世翔  Shixiang Shane Gu
グーグル/グーグルブレイン 研究員
工藤郁子
PHP総研 主任研究員
鮫島正洋
弁護士法人 内田・鮫島法律事務所 代表パートナー弁護士
巣籠悠輔
東京大学大学院 工学系研究科 招聘講師
中島秀之
札幌市立大学 理事長・学長
藤吉弘亘
中部大学 工学部ロボット理工学科 教授
松尾豊
東京大学大学院工学系研究科
人工物工学研究センター/技術経営戦略学専攻 教授
丸山宏
株式会社Preferred Networks PFNフェロー
山下隆義
中部大学 工学部情報工学科 准教授

 

賛助会員

PLATINUM
華為技術日本株式会社 有限責任監査法人トーマツ
デロイト トーマツコンサルティング合同会社
GOLD
富士ソフト株式会社 株式会社安川電機
フューチャー株式会社 株式会社丸井グループ
株式会社三井住友銀行 野村ホールディングス株式会社
株式会社ステッチ グーグル合同会社
株式会社日立システムズ Western Digital
株式会社シー・アイー・シー 株式会社ベイカレント
・コンサルティング
SILVER
西川コミュニケーションズ株式会社 株式会社ジェイテクト
株式会社NTTドコモ 太陽誘電株式会社
株式会社トップエンジニアリング KDDI株式会社
バンタンテックフォードアカデミー ジャパニアス株式会社
   NTTラーニングシステムズ株式会社 日本電気株式会社
tag&associates株式会社 日本マイクロソフト株式会社

G検定・E資格を主催

JDLAは、特に注力している活動である「AI人材育成」の一環として、ディープラーニングに関する知識を持ち、事業に活用する人材(ジェネラリスト)」と認定する「G検定」と、ディープラーニングの理論を理解し、適切な手法を選択して実装する能力や知識を有する人材(エンジニア)として認める「E資格」という2種類の資格試験を主催している。

 

受験者数は近年大幅に増加しており、エンジニアや事業者、学生、経営者など幅広い層が受験している。合格すると合格証、合格者ロゴ、2つの資格試験の合格者が参加するコミュニティ「CDLE(シードル、Community of Deep Learning Evangelist)」のメンバーになることができる。

G検定-AIジェネラリストを認定


G検定は「ディープラーニングに関する知識を有し、事業活用する人材(ジェネラリスト)」を認定する資格試験だ。オンライン形式で受験し、試験中にインターネットなどで情報を検索することが可能だ。受験料は1万2000円(学生は5000円)。G検定に関する詳しい情報は次の記事にふんだんに盛り込まれている。

 

ことし7月4日に実施されたG検定(2020#2)試験で、受験者・合格者はともに過去最多を更新した。受験者は1万2552人と初めて1万人を超え、合格者は8656人だった。G検定の累計合格者数は1万7377人に上る。

 

 

E資格-AIエンジニアを認定


E資格は「ディープラーニングの理論を理解し、適切な手法を選択して実装する能力や知識を有している人材(エンジニア)」として認定する資格試験で、会場で受験する形式をとる。受験料は3万3000円(学生2万2000円)で、こちらも受験者数、合格者数ともに増え続けている。

 

 

E資格とその対策に関して、次の記事で詳細について解説している。

日本ディープラーニング協会E資格認定プログラム

E資格のJDLA認定プログラムは、受験資格を得るための教育プログラムで、認定を受けた教育実施事業者が提供する講座を受講、修了する必要がある。2020年9月末現在、認定プログラムを提供するの主に15事業者だ。

 

次の記事はE資格認定プログラムの特徴を比較して詳しく解説している。ディープラーニング講座の料金プランなどの違いが確認できるので、ぜひ参考にしてほしい。

 

JDLAのイベント

JDLAはディープラーニングの産業活用と人材育成などを促進するため、G検定、E資格取得の試験のほかにも、さまざまなイベントを企画、開催している。

合格者の会

 

JDLAがことし7月に開いたG検定、E資格の合格者が一堂に会するオンライン形式のイベント合格者の会」には、総勢3479人が参加した。松尾理事長は「合格者の会」での特別講演で、今後、ディープラーニング技術で飛躍的な進歩が見込めるとのと見解を強調した。

 

合格者コミュニティ「CDLE(シードル)」

 

CDLEは、JDLAのG検定・E資格の合格者同士の交流・情報交換の場を創出するとともに、ディープラーニングを実際のビジネスシーンで活用するための互助コミュニティだ。

 

  • CDLE勉強会は、CDLEメンバーの知見を広げるため、ディープラーニングの有識者が講演するイベント。参加者数は700~1600人規模に上り、G検定・E資格の保有者が、最先端AI技術などに関する情報・意見交換の機会として積極的に参加していることが示されている。
  • CDLE LT会は、CDLEメンバーが、プレゼンテーションと質疑応答を行うなど、学び合い・交流のイベント。「LT(ライトニング・トーク)」は直訳すると「稲妻のように短い講演」を意味し、いわゆる研究成果などを発表する短いプレゼンテーションの機会と位置付けられている。
参加者数 テーマ 発表者
5/2 勉強会 1646 世界初の水質判定AI
「DeepLiquid(ディープリキッド)」
AnyTech 代表取締役
島本佳紀
5/26 勉強会 1294 ABEJAのデジタルトランスフォーメーション
〜AIが実現するプロセス革命〜
ABEJA 代表取締役社長CEO/共同創業者
岡田 陽介
6/24 勉強会 703 AIの社会実装を進めるための技術的ポイント ニューラルポケット株式会社 取締役/最高技術責任者
佐々木 雄一さん
8/19 勉強会 1014 MIRU長尾賞受賞論文解説 中部大学 工学部ロボット理工学科 教授
藤吉 弘亘
8/24 LT会 787
  • 生体認証を活用した理解度・学習中の心境変化の把握とウソ真実の判定
  • G検定・E資格を取得してから今までを振り返る
  • AIエンジニアとして楽しくスキルアップし続けるには
  • シン・ニホン~AI×データ時代における日本の再生と人材育成~
  • 公式アンバサダー講座に参加して
  • AI特許の国内概況
CDLEメンバー
9/16 勉強会 724 HEROZのAI社会実装事例紹介 HEROZ株式会社 取締役
井口 圭一

出典:connpassから抜粋(以上、敬称略)

  • CDLEハッカソンは、CDLEメンバーがチームを編成してデータの利活用、AIモデルの開発を競うイベント。

DCON(ディーコン)

 

「DCON(ディーコン)」は、ディープラーニングと、ものづくり技術を駆使して創出した事業の内容を競う「全国高等専門学校ディープラーニングコンテスト」。潜在的に大きな可能性をもつ高専生が新事業に生み出す機会となっている。

前回のDCON2020では、最優秀賞に東京工業高等専門学校のプロコンゼミ点字研究会が開発した自動点字相互翻訳システム「:::doc(てんどっく)」が選ばれた。

オンラインセミナー

出典:マスメディアンのプレスリリース

2020年9月にはマーケティング・クリエイティブ職専門に就職支援を手掛けるマスメディアンが開いた連続6回の文系学生向けのAIオンラインセミナー(参加無料)「AIを活用して、よりクリエイティブな仕事キャリアを~文系・芸術系の大学生がAI人材になるには~」にJDLAが協力した。

「人工知能とはなにか?」から始まり、「文系のための『AI職』養成講座」、「広告・マーケティングにおけるAI基礎知識」などのテーマに至るまで、実践するAIスタートアップ企業のトップなどが熱弁をふるった(以下、敬称略)。

 

第1回 人工知能とはなにか?
株式会社ABEJA 代表取締役社長CEO
岡田陽介
第2回 AIでなにができる? 仕事はどう変わる?
JDLA 理事 兼 事務局長
岡田隆太朗
第3回 文系のための「AI職」養成講座
株式会社Liaro 代表取締役
花田賢人
第4回 広告・マーケティングにおけるAI基礎知識
ニューラルポケット株式会社 取締役CTO
佐々木雄一
第5回 AIをたくらむ・あやつる人が覚えておきたい哲学
大阪大学社会技術共創研究センター 招へい教員
工藤郁子
第6回 ディープラーニングを応用できるAI人材に
エヌビディア合同会社 エンタープライズ事業本部 事業本部長
井﨑武士

 

このほか、G検定・E資格試験の合格者に、受験動機や勉強方法、合格のコツなどについての話を聞く「合格体験談オンラインセミナー」や、学会やイベントの最新情報を、JDLAの正会員および賛助会員向けに伝える「ディープラーニング最新情報勉強会」などのセミナーも開催している。

ディープラーニング活用事例の収集・発信

JDLAは研究開発段階から一定の成果が出ている実装段階の事例まで、日本各地でのディープラーニングの活用事例を収集。収集した事例を書籍として出版したり、選考会で表彰する活動を通じた世の中への普及に努めている。

ディープラーニング活用の教科書

日経クロストレンドが編集、JDLAが監修したディープラーニング活用書の第1弾。カツ丼の盛り付けの判定や、泳ぐマグロの数の計測、クリーニング衣類の判別、文章校閲、仮想アイドル画像の生成など、ディープラーニングの活用事例を紹介している。

 

ディープラーニング活用の教科書 実践編

同じく日経クロストレンドが編集、JDLAが監修監修したディープラーニング活用書の第2弾。前作より実践的な活用事例として、「ディープラーニングビジネス活用アワード」の受賞6プロジェクト全てを子細なケーススタディで紹介。キユーピー、楽天、NTTドコモ、フジクラ、荏原環境プラント、リコーなどの活用事例が集約されている。

 

ディープラーニングビジネス活用アワード

JDLAがディープラーニングをビジネスに活用している事例を表彰する選考会だ。2019年秋に初開催され、キユーピーの「AI食品原料検査装置」が大賞を、JDLA正会員のAnyTechが世界初の水質判定AI「DeepLiquid(ディープリキッド)」が優秀賞を受賞した。

まとめ

  • JDLAは、ディープラーニングを中心とするのAI技術で日本の産業競争力の向上を目指す団体
  • 「活用促進」「人材育成」「社会提言」「国際連携」「理解促進」という5つの活動を積極的に推進
  • 特に注力している活動である「AI人材育成」の一環として、「G検定」と「E資格」という2種類の資格試験を実施している
  • そのほかにも、イベント開催や活用事例の普及などを通して、ディープラーニングの普及に努めている

 

経済産業省は「AI人材需給に関する報告書」で、AI市場の需要伸びが「平均シナリオ(年16.1%)」の場合として、国内でAIエンジニアなどの人材不足数が2025年に8万8460人、2030年には12万3718人に上ると試算している。



出典:経済産業省「AI人材需給に関する報告書

「第3次AIブームの」によるAI活用の広がりや「コロナ禍」に伴うリモートワークの浸透、企業によるデジタルトランスフォーメーション(DX)推進の動きも相まって、日本国内でもAI・ディープラーニング技術の利活用と、AI人材のニーズが一段と高まる公算が大きい。JDLAが双肩に担っている責任は、確実に重みを増している。

 

(totalcount 297 回, dailycount 165回 , overallcount 2,786,045 回)

ライター:

AI人材関連

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