2020/07/17

2020/07/16

【独占】AIが送電鉄塔のサビ判定、補修計画作業を大幅短縮-SRA東北・我妻氏

インタビュー

ライター:

人工知能(AI)を支えるディープラーニング(深層学習)を用いて日本で初めて送電鉄塔の腐食劣化度を判定するサービスを提供している企業がある。ソフトウエア開発のSRA東北だ。

 

SRA東北の主力は、人の「目」で判定する業務を自動化・省力化できるAIプラットフォーム「JUDGE!」。画像AIの導入に向けた要件定義から始まり、学習データ開発、AI継続学習のサポートに至るまで、多様な業種・業態の企業ニーズに応えている。

腐食劣化度診断システム-東北電力と共同開発


SRA東北と東北電力が2019年秋に運用をスタートした「腐食劣化度診断システム」は、スマートフォンやドローンなどで撮影した画像を基に、AIが送電鉄塔の腐食劣化度を瞬時に判定するというもの。

 

GPSを活用して画像の撮影時に鉄塔の位置などの情報を取得できることから、送電線路全体の鉄塔の腐食傾向の把握が容易となり、合理的な補修工事計画を短時間で策定することができるという。東北電力のケースでは、これまで約25時間かかっていた計画作業が、6分の1の約4時間まで短縮できるという。

 

これまで送電鉄塔の腐食劣化度の判定は、作業員による目視点検が主流だったが、判定に個人差が生じやすいことが課題だったという。

AIプラットフォーム「JUDGE!」

SRA東北ビジネス・デベロップメントのチーフ・ディレクター、我妻裕太氏はこのほど、AVILEN AI Trendの独占インタビューに応じ、AIプラットフォーム「JUDGE!」や、「腐食劣化度判定システム」になどについて語った。

 

我妻氏の発言は次の通り。

――主力のAIプラットフォーム「JUDGE!」をご紹介いただけますか?

一気通貫で画像系のAIのサービスを提供できるというものです。導入のところでは、要件定義やスマートフォンのアプリ、AIのデータをためるプラットフォームもあります。AIの継続的な学習と運用・保守サポートというように、一気通貫で対応できるところが一番大きなところです。

――提供先の実績は?

数社です。今、実績は少しずつ出てきており、公表できるのは東北電力です。

――「腐食劣化度診断システム」の概要と効果をご紹介ください。

腐食の劣化度診断をやっています。鉄塔のサビですね。撮影したものをAIが判定するという仕組みです。手法はディープラーニングです。判定して終わりではなく、データベース化して、鉄塔の塗装計画を立てるのです。データを基に、どこから塗装するべきかを決めていくとい形です。

従来社員5人がそれぞれ約5時間、計約25時間かかっていた作業を、社員2人がそれぞれ約2時間、計約4時間で実施できるのです。

――SRA東北は社内外を対象にしたAI学習などに取り組んでいますか?

今、一般の企業向けに、AI研修のようなものを提供しています。そういうものを社員に対してやりたりと考えています。

――社外向けAI研修の参加者は何人ぐらいですか?

今、50人ぐらいです。

我妻裕太氏

SRA東北
ビジネスデベロップメント
チーフ・ディレクター

略歴

2009年株式会社SRA東北入社
・6年間システム開発に従事
・一般企業向け、電力系システム、NW、インフラ構築など

2015年株式会社SRA東北営業戦略部に異動
・3年間営業に従事、AI研究を開始

2018年株式会社SRA東北ビジネス・ディベロップメント立ち上げ
・AI、AR、RPA、ブロックチェーン、IoTなど新しい技術を活用したビジネス創出のための事業部を立ち上げ現在に至る

AI関連の受賞・発表歴

2020年7月  「深層学習教科書 ディープラーニング G検定(ジェネラリスト) 公式テキスト第2版」に、「国内初 AIを活用した送電鉄塔の『腐食劣化度診断システム』の運用開始」掲載(予定)

2019年5月   エコシステムパートナーアワード「パートナー・オブ・ザ・イヤー」
2018年11月 「Watson Build2018 日本地区」で準優勝
2018年11月 「Watson Build2018日本地区 オーディエンス賞」 で優勝

 

 

 

(totalcount 1,818 回, dailycount 3回 , overallcount 16,640,703 回)

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