2020/08/01

【独占】AIで企業のコールセンター支出削減目指す、新業務創出へ活路ーTACT溝辺社長

インタビュー

ライター:

日本が直面する人口減少を見据え、人工知能(AI)を活用することで、国内コールセンターサービスにかかる企業支出を約4割削減し、日本人労働者向けの新たな業務・事業を創出する活路にすべきだと唱える企業がある。USEN-NEXT GROUPのTACTだ。

 

TACT 代表取締役社長の溝辺和広氏はこのほど、AVILEN AI Trendの独占インタビューに応じ、斬新な進化を続ける「AIコンシェルジュ」を応用した各種ソリューションと、今後の国内コールセンター市場などについて語った。

AIコンシェルジュ

「AIコンシェルジュ」は、企業などのコールセンターへの問い合わせや、商品の申し込み対応などをAIが対応するサービス。音声認識を手掛けるアドバンスト・メディアとの協力により2016年にリリースした。


SNSメッセージング、チャットボットの機能

TACTは「AIコンシェルジュ」を活用した複数のソリューションを矢継ぎ早にリリース。19年7月にはSMSメッセージング機能を搭載したサービスの提供を開始。20年に入ると、チャットボットを搭載した「AIコンシェルジュ for チャットボット」、「コロナ禍」を踏まえてテレワーク・在宅ワークに対応した「AIコンシェルジュ」の代表電話の自動受付サービスを発表している。

「AIコンシェルジュ for チャットボット」

「AIコンシェルジュ for サーモグラフィ」

そして20年6月にはAI顔認証と赤外線サーモグラフィを搭載した発熱検知機「AIコンシェルジュ for サーモグラフィ」のレンタル受付をアナウンスしている。

日本人はAIを活用し、他の業務に従事すべき

――事業戦略は?

AI活用による企業のコールセンター支出が削減されると、最終的にはコールセンターの市場自体が4割ぐらい削減されるだろうと考えています。要は自動化になるべきだと思っているんです。その理由は、例えば3~4年ほど前にベトナムで日本語の初等教育が始まりました。恐らく10年ぐらいたつと、日本語を話せる人員が増えてくると思うのです。

外国人から見て、日本には、日本語という参入障壁があります。もしその参入障壁がなくなった場合、日本人労働者に比べ初任給の低いベトナムやその他の国からの労働者と戦えるのかということにすごく危機感を持っています。もし、日本語が話せる外国人労働者に切り替わる状況になれば、一気に社会が変わってくると思うのです。

そうなれば、日本人労働者は厳しい状況になってくると思うので、日本は日本の中で考え方を変えながら、例えばAIを活用する側で働いたり、他の業務に従事したりすべきだと思っているのです。

コールセンター市場縮小で副次的効果も

――コールセンター市場をどうみますか?

コールセンター市場は、だいたい1兆2000億~1兆3000億円ですが、お問い合わせの約7割が、ホームページに書いていることだったり、調べれば分かるものだったりします。だとすると、8000億円規模の企業のオペレーションコストが無駄になっているのではないかと考えたわけです。10年間では8兆円ぐらいを意図せず失っているのではないかと考えます。

もし、国内のコールセンター市場で年間8000億円分の支出がなくなれば、日本企業の製品・サービスの価格低減に反映したり、競争力が高まったり、もしかしたら従業員の収入が上がったり、いろいろな副次的効果もあるのではないでしょうか。われわれはこれを使命として真面目に取り組んでいるのです。

ヒトがAIの精度を検証

――「AIコンシェルジュ」、音声ボット、チャットボットの3ソリューションの精度を向上させるためのご苦労は?

AIに詳しい方は分かると思うのですが、一つの言葉を学習すると、他のところに影響する可能性があるので、学習させるかどうかという判断も、結構迷います。

TACTでは、AIスピーチからテキスト化したものが本当に合っているかどうかを人間がテキストに起こすという、かなり泥臭く、地味なことをやっています。そこが他社、普通のAIベンダーとの大きな違いです。

Jリーグのチームに無償提供も

――アピールしたいことは?

AI顔認証と赤外線サーモグラフィを搭載した発熱検知機「AIコンシェルジュ for サーモグラフィ」のレンタルサービスです。

非接触で温度を自動測定できることによって、感染リスクを減らすことができ安心していただけるので、さまざまな企業や、商業施設、大手飲食店などに提供したいと思っています。

また、サッカーJリーグのチームなどは来場する観客が何万人にも上るので、無償で使ってもらおうと思っています。例えば、7月22日より湘南ベルマーレ様・KPMGコンサルティング様と共同で「AIコンシェルジュ for サーモグラフィ」を用いた非接触体温測定システムの実証実験を開始しました。「AIコンシェルジュ for サーモグラフィ」のデジタルサイネージに広告も掲載できるので、サッカーチームなどがマネタイズできるようにすることも考えています。

顔認証でチケット転売防止効果も

最終的には、コンサート会場などで「AIコンシェルジュ for サーモグラフィ」を使っていただきたいと考えています。顔認証で本人確認ができるので、チケットの転売防止になると思います。実現できたらうれしいですね。

溝辺 和広(みぞべ かずひろ)氏

株式会社 TACT
代表取締役社長

  • 1973年、福岡県北九州市生まれ
  • 1992年に株式会社 USENに入社。23歳で放送所所長を経験し、2011年に株式会社 U-NEXTマーケティング(現・株式会社 TACT)の構築と、代表取締役社長に就任
  • 現在は、音声認識による自動応答サービス『AIコンシェルジュ』の提供やRPA導入支援などを通して、コールセンターや企業の利便性向上に取り組んでいる

 

(totalcount 1,306 回, dailycount 13回 , overallcount 16,432,029 回)

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