2020/04/29
2020/07/18
【独占】AIがアニメ映像など高解像度化、ディープラーニング技術で生成―ラディウス・ファイブ菅原COOインタビュー

ディープラーニング(深層学習)技術でアニメ映像などの高解像度化に成功したラディウス・ファイブの菅原健太取締役COOはAVILEN AI Trendのインタビューで、アニメ映像を高解像度に変換する「AnimeRefiner」などが生み出す高解像度画像の精度は国内ナンバーワンとの認識を示した。
目次
「粗い画像」を元にAIが推測、大量な画像の特徴を学習-AnimeRefiner
全人類にとって、フェイスブック(facebook)やツイッター(Twitter)、LINE(ライン)、インスタグラムといったSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)をフル活用した情報発信が「常識」となって久しい。
テレビ放送ではハイビジョンを超える高精細な次世代映像規格「4K・8K」の導入が実現。スマートフォン・タブレット市場ではデジタルカメラをしのぐ超高解像度の画像・映像を生み出す最先端機種が続々と登場している。
そこでAVILEN AI Trendは、人工知能(AI)を支えるディープラーニング(深層学習)技術を駆使して写真素材やアニメ映像などの高解像度化に成功したラディウス・ファイブ(RADIUS5、東京都新宿区)に焦点を当てる。
ラディウス・ファイブは21カ国語対応のAIプラットフォーム「cre8tiveAI(クリエイティブAI)」を運営するスタートアップ企業。特に注力しているのが、ディープラーニングの手法でアニメ映像を高解像度に変換する「AnimeRefiner(アニメリファイナー)」と、写真素材などを高解像度化する「Photo Refiner(フォトリファイナー)」という二つのサービス。
ラディウス・ファイブCOO・菅原健太氏
自社の深層生成モデルに自信ーデザイナー向けAI
ラディウス・ファイブの菅原健太取締役COOはこのほど、AVILEN AI Trendのインタビュー応じた。菅原氏は「高解像度化は昔からあるテーマですが、ディープラーニングでここまでの精度でやっているところはないと思います」と話し、ディープラーニングの生成モデルが生み出す高解像度化技術への自信を示した。「AnimeRefiner」などが生み出す高解像度の画像の精度は国内ナンバーワンと言えるか、との問いにも「それは嘘ではないですね」と笑顔で答える。
「AnimeRefiner」の機械学習について説明する菅原氏
「AnimeRefiner」は今年2月リリース。低解像度から高解像度まで大量な動画の特徴を学習させた深層生成モデルにより、AIが「粗い(低解像度)」画像を元に高解像度を推測して縦横4倍のサイズ、かつ高解像度への変換を実現した。画像を引き伸ばして中間を補間することで4K相当に変換する従来の技術(アップコンバート)とは比較にならないほど美しいという。
菅原氏は「AnimeRefiner」の深層生成モデルに関して、推論時に同時に複数のモデルを使っているのか、との問いに、「マルチにすると、どうしても推論の時間がかかってしまうので、一つのモデルでいろいろなものに対応できるようなものを使っています」と明かす。
高性能GPUクラスタと高速推論技術、10秒で高解像度化ーPhoto Refiner
「Photo Refiner」は、ハードウエアに高性能GPU(グラフィックス・プロセッシング・ユニット)クラスタ(演算装置)を採用。ソフトウェア面ではディープラーニングの高速推論技術(特許出願中)を用いて約10秒で最適かつ高解像度な素材への変換を可能にした。
デザイナー向けAI「世の中にない」、ユーザー入力を元に生成ー独自の高解像度化エンジン
菅原氏は「AnimeRefiner」の深層生成モデルについて、「ユーザーの入力に基づき『この人はこういうイラストを求めているだろう』と予測し、その予測に合わせて生成しています」と説明。「世の中でデザイナーが使えるAIは(当社以外に)ほぼ、ないと思っています」と胸を張る。
「Photo Refiner」については、「例えば印刷業界の方が、印刷する時に高解像度化するケースや、プリントTシャツをつくる方が、(顧客から)送られてきた画像を高解像度化して使っていただいています。政治家の方、それと広告代理店の方にも使っていただいています」と語り、さまざまな業界から引き合いがあることを明かす。
AVILEN取締役・高橋光太郎(左)とラディウス・ファイブCOO・菅原健太氏(右)
「画像を扱うすべての人」ー顧客ターゲット層
菅原氏は、ラディウス・ファイブの顧客ターゲット層について、「画像を使うすべての人です。特に、画像を頻繁に扱う印刷業界、テレビ局、ゲーム会社など、クリエイティブな素材をたくさん使う会社がターゲットです」と語る。
世界中での認知目指すー21か国語対応の「クリエイティブAI」
「世界中で『cre8tiveAI』が認知される状態にしたいと思います」ーー。菅原氏は「cre8tiveAI」が21カ国語に対応していることを挙げ、本格的な海外進出への強い意気込みを示す。「クエリエイターが実際にこれを使って業務改善され、クリエイターではない方も、これを使って新しい表現ができます。例えば不動産業界で(物件の画像を)高解像度化することによってたくさんの入居者が決まるということもあると思います。それが世界中で起きるのがいいなと思っています」ーー。海外本格進出への思いは熱い。
菅原氏はラディウス・ファイブのマーケティング活動などについて、日本国内では、産業を共に創る経営者・経営幹部のためのコミュニティ型カンファレンス「INDUSTRY CO-CREATION(ICC)カタパルト」で入賞したことを挙げ、「そこで見ていただいた方から連絡をいただき、個別に話をしています」と話す。海外向けにも積極的なPR活動を展開しているという。
「上場目指す」ーIPOに積極姿勢
資金調達や事業計画については、「今、調達の話も動いているのですが、上場は目指しています」と語り、新規株式公開(IPO)に積極的な姿勢を示す。
ラディウス・ファイブは2015年9月設立。社名は「半径(RADIUS)5メートル」を意味し、「半径5メートルにいる人を助けられる人が増えていく社会」の実現を目指す。メンバーは役員3人を含む22人。エンジニアは14人で、うち9人が機械学習エンジニアだ。菅原氏は「ディープラーニングのバックグラウンドが強い人が多いです」と明かす。
「デザイナーが非クリエイティブな作業に時間を取られてしまい、本来のクリエイティブな仕事をできないという背景があります。当社のビジョンは『人の創造性を最大化』です。自動化できるものはAIを用いて改善していこうということです」ーー。菅原氏はこう意欲を示す。
「マイクロソフト・フォー・スタートアップス」の対象に採用
マイクロソフト コーポレーション(米ワシントン州)は3月、スタートアップ支援プログラム「Microsoft for Startups(マイクロソフト・フォー・スタートアップス)」の対象としてラディウス・ファイブを採用。ラディウス・ファイブはマイクロソフトのクラウドコンピューティングサービス「Azure」を活用してAI研究・事業推進を強化する方針だ。今後、ラディウス・ファイブの一挙一動から目が離せない。
ラディウス・ファイブ・COO菅原健太氏(左)とAVILEN取締役・高橋光太郎(右)
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