2020/05/25

2020/07/18

【独占】COD佐藤社長、今秋にもAI市場「metabase」β版リリース

インタビュー

ライター:

コンサルティングを中心にAI関連技術を駆使した新規事業創出を行うconnectome.design(COD、コネクトーム デザイン、東京都中央区)の佐藤聡社長はこのほど、AVILEN AI Trendのインタビューで、同社が計画しているAI利活用のマーケットプレイス「metabase(メタベース)」(商標登録申請中)について、「今年秋ぐらいには、オープンなβ版ができるといいなと思っています」と話し、今秋にもβ版のリリースを目指す考えを明らかにした。

AI版の総合ウェブカタログ

佐藤氏は、「metabase(メタベース)」について、製造業向け機械部品の製造・販売を手掛けるミスミグループ本社が運営する総合ウェブカタログ「MISUMI-VONA」を例に挙げ、「機械学習の事例だとか、学習前のモデル、学習済みのモデル、学習データなどを売り買いできるような場所です」と説明。「注文すると、部品などすべてをまとめて送ってくれるんです。そのAI版をやりたいと思っています」と話した。

今後、学習モデルはコモディティ化

佐藤氏は機械学習モデルなど「企業は、買ってきた方が早いと思っているんですよ。別に一からつくる必要なんて全然ないんです。ソフトウエアなので、そうなっていくと思います」と指摘。「今後、コモディティ化していくと思います」との考えを示した。

佐藤氏のインタビューでの主な発言は次の通り。

高品質なモノづくり、ほぼ日独のみ

―――ディープラーニング技術への産業への利活用は、世界的に見て米国のGAFAや中国のBATHが先行しているように映ります。

「モノづくり」分野に関しては、まだまだ全然、いけると思っています。高品質なモノづくりは、ほぼ日本かドイツにしかないと思っています。他はそれをまねてつくっています。

他方、大量につくるとか、安くつくるとか、優位性は当然、労務費の問題もありますし、物価の安いところで大量につくって、コピーをつくるという技術については(日本が)かなわないところもあると思います。

ただ、実際に日本のモノづくりの現場に実際に行ってみると、やはり蓄積を感じます。これをAIで置き換えられるかという問題は別にして、日本のモノづくりは、たぶんコピーが難しくて、モノづくりそのモノをコピーするのは無理というとなんですが、かなり難しいのではないでしょうか。

(日本のモノづくりの)考え方、段取りの方法は、歴史的に積み上げてきたからこそできるところが多く、それをAIがサポートしていくということに、まだまだ可能性があります。

GAFAに日本が攻められている実感なし

GAFAが、日本のモノづくりの現場に入ってきているかというと、グーグルの社員が、日本の工場でカメラを設置して、AIモデルに学習させてというようなことは、あり得ません。

GAFAはそんなことをする必要がないからです。収益源として広告があるので、そこで稼げばいいのです。あまり、モノづくりの世界で、GAFAに日本が攻められているという実感はありません。日本はまだまだ、生き残ることができると思います。

品質95%のモノをAIで99%にするのは間違い

AIの活用場所として工場があります。工場では、不良品がどれだけあるのかという「歩留まり(ぶどまり)率」の考え方があります。今、日本の工場はすごく優秀なので、歩留まり率が95%とか、98%です。それを「98%、99%にしたいので、AIを使えないか」とおっしゃるところがあります。これはまったく間違っていると思います。それをやれるのはたぶん人間しかいないのではないかと思っています。

多くの場合は、「いま95%だから、品質が良いと言えるので、それほどやることはない」と言う工場もあります。どうやっているかというと、おじさんたちのものすごい努力の上に成り立っているんです。彼ら検査をする人が血眼で検査しているんです。

彼らがいなくなったりした途端に、品質が落ちてしまいます。ロスト・テクノロジーです。本当にやらなければいけない(基本的な)ところだけをAIにやらせてあげれば良いのであって、AI関連技術で底上げできれば、95%から98%を目指すところの創意工夫は、やはり人間ができるのではないかと思います。

ディープラーニングは画像、音声、振動、映像というようjに、いろいろなデータを使えるようになってきたので、匠がやっている簡単なルーティーンのようなところをAIに置き換えられれば、それで十分だと思っています。

「AIは人間より優れているから、人間が95%なら、AIは98%できるはず」というのは、あまりお勧めしていません。

佐藤聡COD社長の経歴

1989年、東京理科大学工学部機械工学科卒。

ロボット技術の研究室で機械制御に利用するため、初めて人間の神経細胞の仕組みを模した「ニューラルネットワーク」に触れる。

AIを用いた自動演奏の実現を目指して電子楽器メーカに入社。その後、ソフトウエア開発会社勤務を経て、創業メンバーとしてソフトウエア開発会社を立ち上げる。

約20年にわたり主にJavaを使ったさまざまなシステム構築や企業経営に従事。

2011年、AI技術開発に特化した大学発ベンチャーに創業メンバーとしてに参画。

2018年、connectome.design(コネクトーム・デザイン、東京都千代田区)の代表取締役社長に就任。

2017年から日本ディープラーニング協会(JDLA)理事および産業活用促進委員長として国内産業分野でのディープラー二ング活用を促進し、現在に至る。

 

(totalcount 3,120 回, dailycount 6回 , overallcount 16,631,062 回)

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