2020/08/07
【独占】AIが見込み客抽出、企業マーケティング支援ー東急エージェンシー飯塚氏
人工知能(AI)を活用して企業のマーケティングを支援している大手広告会社がある。東急グループ傘下の東急エージェンシーだ。
東急エージェンシーが提供しているのは、小売業やサービス業などビッグデータ(大規模顧客データ)を保有する企業向けに、顧客の購買データや行動履歴を基に、「見込み客」や「推奨商品・サービス」を抽出する分析ツール「Target Finder(ターゲット・ファインダー)」。
東急エージェンシー マーケティングイノベーションセンター データマネジメント局 データアナリティクス部の飯塚久哲部長はこのほど、AVILEN AI Trendのインタビューで、Target Finderなどについて語った。
ビッグデータ分析ツール「Target Finder」
広告会社として、お客さまが望む、いわゆるデータドリブンマーケティングの促進のために、お客さまのデータを活用して、施策に生かすお手伝いをさせていただいています。
いろいろな分析、施策、アクションを考えるのですが、東急エージェンシーとして、「Target Finder」という独自のソリューションをコアに据えることが多くあります。
Target Finderは、産業技術総合研究所が開発した「APOSTOOL」(現在「PLASMA」)を基に、2015年7月にリリース。これまでの顧客データ分析と違い、確率的潜在意味解析法(PLSA)という分析手法を用い、「顧客と商品」「顧客と利用サービス」「顧客と店舗」といった2軸で顧客の行動パターンによるタイプ分け(クラスタリング)が可能だ。
17年7月にはTarget Finderと、JIG-SAW の自動監視 サービス「puzzle」を連動させたクラウドサービス「Target Finder SaaS」をリリースしている。
見込み客分析で具体的行動まで提案
――東急エージェンシーの強みは?
Target Finderは、さまざまなIDに紐付いたビックデータを分析して、顧客のニーズや興味関心を明らかにしたり、見込み顧客を探したり、といったようなことが簡単にできるソリューションです。
例えば、ある商品の見込み顧客を探す際、データを起点に具体的なアクションまで提案できるところが東急エージェンシーの強みです。
PLSA(確率的潜在意味解析法)
――Target Finderのアルゴリズムは?
Target Finderの裏の仕組みは、機械学習のPLSA(確率的潜在意味解析法)という手法を使っています。こちらはいわゆるトピックモデルといって、情報検索やテキストマイニングの分野で発達した手法です。
特に専門的な知識がなくても使えるようにというのと、分析の結果がすぐにアクションにつながるような設計にしたというところが、一番苦心したところであり、一番誇れるところだと思っています。
――東急エージェンシーのAI・データサイエンスに関する取り組みは?
データサイエンスと行動経済学のスペシャリストである慶應義塾大学経済学部の星野崇宏教授と2019年から共同研究をさせていただいています。
私どもはデータをマーケティングに活用するためには「高度なデータサイエンスやAIテクノロジー<データを活かす理論>」と合わせて、「行動経済学に代表される人間行動の理論的側面の理解<人を動かす理論>」が重要であると考えています。
星野教授はこれまで統計学・計量経済学・心理学の基礎研究と、マーケティング・脳科学・公衆衛生など、さまざまな分野への応用研究を行ってこられました。星野教授の「データを活かす理論」と「人を動かす理論」の両面での深い知見と実績をもとに、
- 施策効果測定や広告予算最適配分などのマーケティングモデル開発
- 効果的に顧客ロイヤリティを高めるポイントプログラム開発
- 膨大な行動履歴データをマーケティング施策に活かすDMP活用
などに取り組み、ますます高度化するDX時代のマーケティング課題の解決につなげていきたいと思っています。
飯塚 久哲(いいつか ひさてつ)氏
マーケティングイノベーションセンター
データマネジメント局 データアナリティクス部 部長
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