2020/08/07
2020/08/08
【独占】ファーウェイ、ソリューションにも強みーAIが顔認証してドア開閉(下)
人工知能(AI)などを活用した産業デバイスのセンシング技術は日進月歩で高度化し、収集した膨大なデータを遅延なく処理することへのニーズは高まるばかりだ。このため、データをクラウドではなく、収集したデータを近傍のコンピューター、サーバーもしくはデバイス自身で処理する「エッジコンピューティング」の活用が広がっている。
スマートフォンの世界シェア2位の中国通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)は、高性能スマホなどのモバイル製品にとどまらず、全領域をカバーするAI製品群とソリューションを提供している。
ファーウェイ・ジャパンCloud & AI 事業本部の鞏建農(ゴン・ジェンノン)本部長、秋元一泰 CTO(最高技術責任者)、林憲一 最高戦略責任者は先ごろ、AVILEN AI Trendの独占インタビューで、ファーウェイのコンピューティング戦略や日本での事業戦略などについて明らかにしている。
今回、秋元 CTOはAVILEN AI Trendのインタビューで、AIがリアルタイムにデータをエッジで処理する「Atlasシリーズ」を用いた各種ソリューションもファーウェイの強みだと話した。
目次
マスク着用・歩きながらでも顔識別
秋元氏
最初は社員IDカードをカードリーダーで読み込みドアが開くシーンです。次は壁に設置してあるカメラで顔認証し即座にドアが開くシーンです。1秒以下と非常に高速で顔認識できるため、立ち止まらずにドアを通過することができます。また、やや斜め上かつ斜め横の顔でも精度よく認識できるだけでなく、マスクをしていても顔認証ができるアルゴリズムを搭載しています。
日本の空港の出国ゲートで使われているカメラの真正面に立って2~3秒かけて認証する「積極認証」というものがありますが、それでは利用者はいちいちカメラの前で立ち止まり、ドアが開くのを待つ必要があります。
ファーウェイの顔認証ソリューションは、歩きながら、かつ、斜め横の角度でも即座に顔を認識してドアを開閉することができます。
顔認証アクセスコントロールの仕組み
秋元氏
Atlas500を使用したファーウェイの顔認証アクセスコントロールです。
Atlas500に搭載されている顔認証AIエンジンの特長は、顔特徴量が非常に軽いにも関わらす精度が良いことです。この小さいAtlas500の中に、約10万人分の顔特徴量データベースを格納することができ、ビル1棟分働いている方ぐらいでしたら、この1台で十分に顔認証コントロールをすることができます。
また、顔認証以外にも人流解析、群衆解析、物体検知のソリューションがあり、既に製品化し日本国内で展開しています。
人流解析は、仮想的に引いた線をどちらの方向からどちら方向に何人移動したかをカウントします。これにより、どこで人が混んでいるか、人がどちらの方向に、どのくらい移動しているかをAIで検知可能です。
物体検知は、現在ベビーカーと車椅子の検知が可能であり、例えば危険を察知した場合にアラートをあげるなどの目的で使うことができます。
顔認証、人流/群衆解析、物体検知
Atlas500 AIエッジー過酷な状況でも安定稼働
秋元氏
Atlas500エッジステーションは、空調や冷却が整っていないエッジ環境でも安定して稼働するものです。全体で25Wの低消費電力、クラウドには4Gで繋がり、エッジ~クラウドへのシームレスな協調が可能です。エッジサーバーは大量に使用されるので、1台ずつ保守するわけにいきません。このため、クラウド上から複数のAtlas500に対して稼働監視、Firmwareのアップデートなど統合的なライフタイム管理ができます。
またクラウドからコンテナでデプロイする事により、Atlas500上で動作中のアプリケーション/アルゴリズムを動的に更新することができます。
AIカメラで高圧送電線管理
Atlas 20 AIアクセラレーターモジュール
秋元氏
中国の高圧送電線の監視/点検にAIカメラが使われている事例です。AIアクセラレータモジュール Atlas200を搭載した可動式カメラを高圧送電線鉄塔1基につき1台設置し、送電線や周囲の異常をAIで検知して、監視センターに通知します。過酷な環境下であるだけでなく、高圧電線からは電力を取れないので、太陽光パネルの電力のみで安定稼働する必要があります。非常に低消費電力で高性能なAI機能を持つAtlas200を適用して、実現できたソリューションです。
秋元一泰(あきもと・かずひろ)氏
Cloud & AI 事業本部 CTO
日立製作所入社。最初の10年間にメインフレーム/スパコン用チップ開発。次の10年間にUNIXサーバ/x86ブレードサーバ開発に従事。3年半の米国でのサーバビジネス開拓を経験。
帰国後にパートナーとの共創を通じてFlash/FPGA/Networkなど他社の最新技術を活用したソリューション開発をリード。 現在、Huawei JapanでAI活用事例探索、および、AIビジネス開拓をパートナーと共に推進。 |
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