2020/10/01

【独占】コロナ禍で人材登録急増、アノテーション単月売上高は4倍超-パソナJOB HUB

インタビュー

ライター:


企業とプロフェッショナル人材のマッチングや、クラウドワーカーを活用したビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)、そして人工知能(AI)・機械学習のための教師データ作成サービスを提供する企業がある。パソナグループ傘下のパソナJOB HUBだ。

 

パソナグループ成長戦略本部の池田直樹イノベーションテック室長、パソナJOB HUBBXソリューション部の大田航平部長はこのほど、AVILEN AI Trendのインタビューに応じ、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、今年5月のプロフェッショナル人材の登録者数が前月に比べて10倍まで増加したことを明らかにした。

 

人材マッチングのほか、パソナJOB HUBは国内に3万5000人規模のクラウドワーカーを確保して、さまざまな業界の企業向けに業務を支援。AI関連では、人間が大量のデータに属性タグを付けるアノテーション事業も展開しており、今年4月の売上高が前年同月比4.3倍となった。

パソナJOB HUBは「JOB HUB アノテーションツール」も独自に開発。クラウドワーカーがこのツールを用いて作成した教師データを企業に納品する案件が右肩上がりで増えているという。

プロ人材と外部人材求める企業の架け橋

池田氏

パソナJOB HUBはプロ人材をたくさん抱えており、外部人材を検討している企業さまとプロ人材をつなぐことのお手伝いをしています。

その中に、アノテーションを含め、データサイエンティストや、パソナグループ傘下にエンジニアに特化したパソナテックもあります。

プロ人材をたくさん抱えているので、業種を問わず、幅広い企業にサービスをご利用いただいています。

アノテーション担当ワーカーは数千人

――強みは?

池田氏

われわれの圧倒的な強みは、プロフェッショナル人材を抱えていることです。

AIやビッグデータを取り扱うビジネスは、一番の入り口として、画像アノテーションのような、データを収集・入力し、AIマシーンに教えてあげる誰かが存在しなければなりません。人力で、画像データ何万枚とか、音声データ何十万枚とか、教師データを作成しなければなりません。そういうワーカーを何千人と抱えています。

プロフェッショナル人材、プラス、手を動かすワーカーを兼ね備えているというのが、圧倒的な強みだと思っています。今後もどんどんワーカーを増やしていきたいと思っています。

求人問い合わせ増加-コロナ禍で

――「コロナ禍」の影響は?

池田氏

業界全体かもしれませんが、クラウドソーシングサービスを提供している会社に対する相談件数は、全体的に増えていると思います。

ですので、アノテーションに限らず、求人の問い合わせは、パソナグループ全体で増えたという印象があります。

5月の人材登録者数10倍-前月比

大田氏

今年5月に、人材登録者数が前月比10倍ぐらいに一気に増えました。

これまでは正社員でお仕事していた方、派遣契約に基づきお仕事していた方が、在宅でも働ける状態にしておきたいという声があり、パソナJOB HUBに登録される方が一気に増えました。

今年4月のアノテーション事業の売上高は前年同月比4.3倍になりました。

「JOB HUB アノテーションツール」

――注力している「JOB HUB アノテーションツール」について説明してください。

大田氏

AIを開発する際に、多くのケースで必要となるのが大量のデータです。画像認識であれば、そのターゲットとなるオブジェクトがどこにあるか、そのオブジェクトは何であるか、ということを示す教師情報を付けたデータが必要になります。弊社では、この教師情報を付与(タグ付け)するアノテーションのサービスと、それを支える「JOB HUB アノテーションツール」を提供しています。

全国に所属しているタレント(ワーカー)が約3万5000人います。この3万5000人の中で、特定の教育を受けたアウトソーシングチームのメンバー約1000人を中心に体制を組み、アノテーションのビジネスに対応しています。最近では、このチームメンバーも個人の方だけではなく、全国のパートナー企業も参画していただき、数千人規模の体制を組めるまでになっています。

「JOB HUB アノテーションツール」は、この複数の方々に、1枚1枚の画像に対して、例えば「車に枠を付けてください」「車種の情報を付与してください」といったような、ルールにのっとったタスクを数万枚単位で行っていただく際、誰がどのタスクを作業していて、どれぐらい進捗しているか、作業の品質が高いのか低いのか、ルールを正しく認識しているか、間違っているか、ということを管理して、必要に応じて、間違っているものは修正してもらえる仕組みを持ち、コミュニケーションを取りながら高い品質で作業を進められるツールです。

大田氏

パソナJOB HUBは、例えば、AI業界でしたら、データサイエンティストやAIエンジニア、AIリサーチャーのような、専門性を持った人材をご紹介して、お客さまの業務をご支援、ご活躍いただくこともできます。

例えば、日ごろは支援先企業さまでAIのモデリングや開発、必要なデータ仕様の検討などの高い技術や専門スキルが必要な業務にてアドバイザーとして活躍している専門人材が、「実際に、5万枚の画像のデータにアノテーションをしたい」というニーズをお聞きした場合、アノテーションの作業自体はわれわれが業務を請け負い、全国の在宅ワーカーに一気に作業していただくという連携ができるのです。

その時に、「JOB HUB アノテーションツール」を使って、効率よく、品質の高いデータを作ることができるというのが、パソナJOB HUBのアノテーションサービスの特徴です。

AI人材特化型の紹介サービスも提供

大田氏

パソナJOB HUBとしては、AI、データサイエンティストに特化した人材紹介サービスも提供していますし、AI、データサイエンティスト以外の分野でも、基本的に、全方位的にサービス提供しているのが特徴です。

IT系、経理、総務、事務のほか、営業、マーケティング、デジタルマーケティングのようなところもニーズが高いので、サービス提供しています。

さまざまな業種のプロフェッショナルと、各業種に紐づく作業を請け負う体制を持っている点が、総合系の人材ビジネスを行っているパソナグループの一員としてやっている特徴の一つです。

池田直樹氏

株式会社パソナグループ
成長戦略本部
イノベーションテック室長
株式会社パソナJOB HUB
CPO(Chief Product Officer)

  • 2004年、大手ゲームメーカーに入社後、プログラマー、財務、事業推進のキャリアを積む
  • 2017年からアマゾン・ジャパンでデジタルマーケティングを中心にウェブサイトのプロデュース全般を担当
  • 2020年4月、パソナJOB HUBへ参画後、CPOとしてプラットフォーム開発に従事

 

大田航平氏

株式会社パソナJOB HUB
BXソリューション部 部長

  • 2003年、パソナテックへ参画、人材部門、公共部門などで雇用創造関連の事業に広く従
  • 地域間格差や情報格差等の現象に着目し、2013年以降は新規事業部門にてテレワークや複業などの新しい働き方の推進を行う
  • 2015年より、AI向けデータ作成(アノテーション)の専門部隊を立ち上げ、2019年6月より現職。
  • 日本ディープラーニング協会(JDLA)のG検定を保有

 

(totalcount 2,079 回, dailycount 7回 , overallcount 16,590,934 回)

ライター:

インタビュー

single-banner

COMMENT

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。
*は必須項目です。




CAPTCHA