2020/07/07
【独占】ファーウェイ、日本でパートナーシップ強化ー「インテリジェントな世界」目指す(上)
中国通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ、中国・深圳)は日本の業界と進めている共同イノベーションをさらに加速させるとともに、日本企業との緊密なパートナーシップを一層強化することなどを通じ、同社が掲げる「すべてがつながったインテリジェントな世界」の早期実現を目指す。
華為技術日本(ファーウェイ・ジャパン、東京都千代田区)Cloud&AI事業本部長の鞏建農(ゴン・ジェンノン)氏がこのほど、AVILEN AI Trendの独占インタビューに応じて語った。
ファーウェイは「あらゆる人、家庭、組織にデジタル化の価値を提供し、すべてがつながったインテリジェントな世界を実現する」というビジョン・ミッションを掲げている。鞏氏は「これから日本でたくさんのパートナーと提携することにより、そして、日本ディープラーニング協会(JDLA)などいろいろな業界団体と協業することによって、日本でも一刻も早いインテリジェントな社会の実現に役に立ちたいと思っています」と述べた。
ファーウェイは1987年に設立された世界有数のICTソリューションプロバイダー。通信事業者や企業、消費者に最大の価値をもたらすべく、170以上の国・地域で高い競争力の製品・サービスを提供。世界人口の3分の1の通信環境をサポートしている。従業員数は約19.4万人で、そのうち約9.6万人が研究・開発(R&D)に従事している。
目次
19年売上高、19.1%増の13兆3715億円
19年のファーウェイの売上高は前年比19.1%増の8588億元(約13兆3715億円)。純利益は前年比5.6%増の627億元(約9762億円)。19年のR&Dへの投資は前年比29.7%増の1317億元(約2兆506億円)。※いずれも1元=15.57円で換算
2020年にはCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)という困難があり、2020年第1四半期の成長率の規模はそれほど大きくないのですが、小規模の安定的な成長が見えました。
毎年、売上高の10~15%をR&Dに投資しています。ファーウェイは技術を重視する会社というスタンスで事業を展開しています。
従業員約1000人の78%を現地採用ー日本法人
日本法人であるファーウェイ・ジャパンは2005年11月に設立。06年に日本市場向けに分散型基地局の提供を始め、07年に日本市場向けに端末製品の提供をスタートした。10年には端末R&Dセンター、11年に日本研究所をそれぞれ設立。11年には日本市場に自社ブランドのスマートフォンを投入した。
従業員数は約1000人で、このうち78%を現地で採用。2012年から新卒採用を実施するなど現地人材を活かしたローカルな事業展開を進めている。東京、大阪、横浜など国内に8つの事業所・研究所を置く。
経団連、日中経済協会に加盟
11年に経団連、14年には日中経済協会にいずれも初の中国企業として加盟。日本国内のさまざまな業界や標準化団体に積極的に参加し、日本のICT業界の一員として貢献を続ける。
日本国内最大のネットワーク関連展示会「Interop Tokyo」では、8年連続で受賞。「Interop Tokyo 2020」(オンライン)では、優れた新製品を審査する「Best of Show Award」で19年に続き5つのグランプリを含め、8部門での受賞を果たした。
多くの日本企業と提携へーJDLAなどと協業
ファーウェイは自社開発したチップ、技術、製品、ソリューションを活用し、日本の現地パートナーと共存、提携することによって、日本市場への価値創造を実現したいと思っています。
AIの普及に伴い、これから必ずインテリジェントな社会になると思います。AIは、必ず人類のさらなる発展につながります。
これから日本でたくさんのパートナーと提携することにより、日本でも一刻も早いインテリジェントな社会の実現に役に立ちたいと思っています。
AI分野で長期投資
ファーウェイは19年9月、人工知能(AI)関連事業の強化に向けて、今後5年間で15億ドル(約1600億円)を投じ、開発者500万人の支援策を発表している。
ファーウェイはAI分野で長期的な投資を行っており、AI関連の製品、ソリューションを持っています。それらを通じて、日本のお客さまやパートナーに対して、ファーウェイのAI戦略を十分に理解していただきたいと思っています。また、日本でのAI投資は数億円を超えています。
ファーウェイコンピューティング戦略
ICT業界向け最大規模の年次イベント「Huawei Connect 2019」(9月18~20日、上海)では「コンピューティング戦略」を発表しました。一つのクラウド、二つの翼、二つのエンジン、そしてオープンなエコシステムです。
二つのエンジンというのはARMベースCPUのKunpengとAI向けのAscendです。二つの翼は主に二つの業務を指しており、一つはインテリジェントコンピューティング、もう一つはインテリジェントデータストレージです。
コンピューティング戦略は、ハードウェアをオープンにし、ソフトウェアをオープンソース化して、お客さま、パートナーとの協力によって、ウィン・ウィンのビジネス形態を求めています。
オープンなエコシステムに関して、全世界で現地パートナーを重視します。
鞏建農(ゴン・ジェンノン)/Gong Jiannong 氏
華為技術日本株式会社(ファーウェイ・ジャパン)
専務執行役員
Cloud & AI事業本部 本部長
2002年、中国・東北大学(Northeastern University)コンピュータサイエンス・テクノロジー学部卒業。
2006年、ファーウェイ入社。 2006年~2010年、ファーウェイ中国地域インターネット業界顧客開拓担当。 2011年~2014年、ファーウェイ中国地域サーバー製品・ソリューションセールス担当。 2015年~2017年、ファーウェイ(本社)法人向けICTソリューション事業本部サーバーソリューションセールス部長。 2018年3月、日本に赴任。法人向けICTソリューション事業本部ソリューションセールス部長、インテリジェントコンピューティング事業本部長を歴任。 現在、Cloud & AI事業本部 本部長として、コンピューティング、ストレージ、AIソリューションの市場開拓および事業運営に責任を負う。 |
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