2020/05/23
2021/10/05
【独占】G検定、「管理職級、もうちょっとやらないと」ーJDLA佐藤理事
日本ディープラーニング協会(JDLA)の佐藤聡理事はこのほど、AVILEN AI Trendのインタビューに応じ、ディープラーニング(深層学習)を活用する人材(ジェネラリスト)向け「G検定」について、「受験者は20~30代が中心で、管理職クラスになると減ってくるのです。管理職クラスが、もうちょっとやらないといけないと思います」と話し、企業の管理職級の従業員が、機械学習やAIの有効活用に関する知見を深めることの重要性を唱えた。
目次
AIジェネラリスト不足
佐藤理事は、国内のAI(人工知能)人材について、「AI技術者は、単純にコードを書けるような人たちは充足してしまうのではないかと思っています」とも指摘。「日本の企業におけるAIのジェネラリストの方が、足りないかなという気がします」と語り、企業がAIジェネラリストの育成や外部からの登用を積極的に進めるべきだとの考えを重ねて示した。
「G検定」合格4198人ー累計1万8721
2020年3月末現在、JDLAのディープラーニングを活用する人材(ジェネラリスト)向けの「G検定」(オンライン)の累計合格者数は1万8721人。一方、ディープラーニングを実装する人材(エンジニア)向けの「E資格」を持つ1660人を加えた累計合格者は2万381人。
20年3月の「G検定」の年代別の合格者割合は、高い順に20代(35%)、30代(31%)、40代(23%)。業種・職種別合格者割合(複数回答)は「情報処理・提供サービス業」(25%)、「ソフトウエア業」(21%)、「製造業」(15%)、「運輸・通信業」(6.4%)、「大学生」(5.1%)、「大学院生」(3.6%)の順となっている。
「G検定」はディープラーニングの基礎知識を持ち適切に事業に活用できる能力・知識を備えているかを問うもので、試験範囲は、AIの定義や機械学習の具体的手法、ディープラーニングの産業への応用や法律、倫理のほか、現行の議論などにも及ぶ。
ディープラーニング産業活用促進の責任者
JDLAの産業活用促進委員会委員長も務める佐藤理事は、自らの役割について、「勉強会を開催し、企業の方々にディープラーニングの本体、実態をしっていただくような活動もあります」と紹介。AI導入に向けて「どうやってPoC(概念実証)をしていくのか、アセスメントをどうやっていくのか、取り組み方自体を標準的にこうやりますということをガイドラインとしてまとめたり、提示したりしています」と説明した。
CDLAハッカソン「なかなか好評」
さらに「特筆すべきは、第1回目のアイデアソン(Ideathon)/ハッカソン(Hackathon)を企画して実行したところ、なかなか好評でした」と話した。
JDLAは2019年8月31日から1カ月間、「G検定」と「E資格」の合格者のスキルアップや、企業・研究機関との交流機会の提供を目的に、ディープラーニングの伝道者コミュニティ「CDLE(シードル)」メンバーが一堂に会する「CDLEハッカソン」を開催。運転状況や景色に合った楽曲をSpotify(音楽発見サービス)のプレイリストから選曲・再生に取り組んだABEJAチームが大賞に選ばれた。
30年に国内AI人材不足12万人超ー経産省
経済産業省は「AI人材需給に関する報告書」で、AI市場の需要伸びが「平均シナリオ(年16.1%)」の場合として、国内のAI人材不足数が2025年に8万8460人、30年には12万2718人に上ると試算している。
出典:経済産業省「AI人材需給に関する報告書」
佐藤聡理事の経歴
1989年、東京理科大学工学部機械工学科卒。
ロボット技術の研究室で機械制御に利用するため、初めて人間の神経細胞の仕組みを模した「ニューラルネットワーク」に触れる。 AIを用いた自動演奏の実現を目指して電子楽器メーカに入社。その後、ソフトウエア開発会社勤務を経て、創業メンバーとしてソフトウエア開発会社を立ち上げる。 約20年にわたり主にJavaを使ったさまざまなシステム構築や企業経営に従事。 2011年、AI技術開発に特化した大学発ベンチャーに創業メンバーとしてに参画。 2018年、connectome.design(コネクトーム・デザイン、東京都千代田区)の代表取締役社長に就任。 2017年から日本ディープラーニング協会(JDLA)理事および産業活用促進委員長として国内産業分野でのディープラー二ング活用を促進し、現在に至る。 |
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