2020/08/11

【独占】蘭CM.com、日本で販促に活路-全サービスにAIチャットボット

インタビュー

ライター:

WhatsAppビジネスアカウントやApple Business Chatといった会話ツールに対応したメッセージ配信サービスを提供するグローバル企業がある。世界14カ国に16拠点を持ち、アムステルダムのユーロネクスト証券取引所に上場しているオランダのCM.comだ。

 

CM.comは今年、人工知能(AI)チャットボット開発のオランダ企業、CX Companyを買収。CM.comの全サービスにCX CompanyのAIチャットボット機能(日本語対応)が搭載されたことから、外国企業と取引する機会が多い日本企業などへのサービスの販売促進に活路を開いた。

 

CM.comのゼネラルマネージャー、ホッドニー・べナッジ氏と、日本法人であるCM.com Japanのカントリーマネージャーの中藤丹菜氏がこのほど、AVILEN AI Trendのインタビューに応じ、日本を含むグローバル戦略や、CM.comの強みについて語った。

多様なメッセージ配信サービス提供

主な発言は次の通り。

べナッジ氏

CM.comのサービスはAI機能を搭載していませんでしたが、今年、CX Companyを買収しました。これにより、CM.comのカスタマーコンタクトプラットフォームにAI機能を組み込むことができました。この買収は、とても大きな一歩であり、CM.comの事業の成長を強化する効果があります。

CM.comのカンバセーショナル・コマース(対話型商取引)実現のため、CM.comのサービスにAIチャットボットをプラスすることにより、よりサービスに価値を持たせることができます。

AIチャットボットは、WhatsAppやApple Business Chatなど、CM.comのカスタマーコンタクトで扱えるメッセージチャネルにベストマッチしています。

べナッジ氏

CX CompanyのAIチャットボットの特長は三つあります。

一つ目はロング・クエスチョン・エンジンです。これはメッセージを通して送られてくる長いメッセージをAIで短いものとして認識して処理するものです。

二つ目は、オートアンサー機能です。ウェブサイトや企業側に関する情報をAIが自動的に拾ってきて答えるというものです。

三つめ目はオートダイアログ(自動対話)機能です。機械学習により、エンドユーザーから送られてきた分かりにくい質問に対しても、今までのデータベースに入っているやり取り履歴から、質問の意味を当てて答えていくものです。

この自動対話機能があることで、いままでAI未搭載のチャットボットで実施していた作業を5割削減できるのです。

 

セミナー・企業訪問でサービス説明ー日本法人

べナッジ氏

CM.comは、日本の企業にCM.comの最新のテクノロジー、ソリューションを使っていただくため、2018年に日本法人を設立しました。

カントリーマネージャーの中藤と共に、セミナー開催や日本企業への訪問を通じて、CM.comのソリューションによる課題解決を説明してきました。
今後も、日本企業の要望や課題をヒアリングして、それぞれの企業に合ったソリューションを提供していきたいと思っています。

日本向け全サービスが日本語対応

――CM.comのサービスは日本語に対応ですか?

中藤氏

現在日本で展開しているCM.comのサービスはすべて日本語に対応しています。日本で展開できていない一部のサービスに関しては鋭意準備中で、プラットフォームの和訳はもちろん、販売環境が整い次第展開していく予定です。

――CM.comジャパンの事業戦略は?

中藤氏

CM.comのサービスは、日本企業が、海外の顧客や取引先に、いろいろなメッセージチャネルを使ってリーチできることが一番の強みです。

2018年の設立から約3年ですが、例えばWhatsAppや、フェイスブックのMessgenger、SNSなどで外国企業や海外消費者とのコミュニケーションを取る際に、日本企業にとっての一番の壁が言語でした。

大企業は外国企業や消費者とのカンバセーションに対応できるリソースを確保していると思いますが、中小企業などですと海外に売り出したいけれど、それに対応できる人がいなくて、そもそもSNSやWhatsAppなども使えないということもあります。

このため、CM.comの各種サービスに搭載できるチャットボットの必要性を感じていました。今回、CX Companyの買収とAIチャットボット機能の搭載が実現したことにより、日本企業にとっての言語の壁がかなり低くなったと思います。

次の日本での課題は、価格とUX(ユーザー体験)、日本人向けの管理画面や使い方をローカライズすることだと思っています。それができるようになれば、AIチャットボットがかなりうまく機能して、CM.comのサービスを利用してくれる日本企業も増えるのではないかと期待しています。

CPaaS分野に強みー118カ国でサービス提供

世界最大の携帯関連見本市「モバイル・ワールド・コングレス(MWC)2019」に出展

 

べナッジ氏

CM.comは主にCPaaS(Communication Platform as a Service)の分野でさまざまな強みを持つ企業です。

CM.comはカンバセーショナル・コマースのソリューションを提供しています。これらのプロダクトは、自社の開発者が、インハウスで開発したもので、もちろんクラウドも自社で管理しているものです。

現在、118カ国でサービスを提供しています。提供先は、大企業から中小企業、政府にもこのサービスを使っていただいています。

べナッジ氏

CM.comのサービスとして、大きく三つの強みがあります。

一つ目の強みが、メッセージング・プラットフォーム「カスタマーコンタクト」です。カスタマーコンタクトではSMSや電子メール、そしてOTT(オーバー・ザ・トップ)と呼ばれる通信会社以外が提供するメッセージサービス、Facebook Messenger、WhatsApp、Viberなどのメッセージチャネルを一元管理できます。

また、CM.comのカスタマーコンタクトは、アップルが提供しているiMessage上の企業アカウント「Apple Business Chat」にも対応しています。

べナッジ氏

二つ目の強みがクラウド・プラットフォームです。メッセージのやり取りやイベントのチケットの予約・発券、顧客管理、認証サービス、チャットボットをクラウド上で行えるということです。

べナッジ氏

三つ目の強みはペイメントサービスです(日本除く)。欧州圏でペイメントサービス・プロバイダーのライセンスを取得しており、今後、世界で事業拡大を進めています。

国外でもペイメントサービスの提供が可能となれば、メッセージング・プラットフォーム、クラウド・プラットフォーム、ペイメント・プラットフォームという三つの強みを組み合わせて使うことで、われわれのクライアントはCM.comのサービスの恩恵を最大限に受けることができます。

顧客ニーズ最優先ー新たなAI搭載ありきでない

――今後、AIチャットボット以外の機能を導入する可能性は?

べナッジ氏

現時点で、チャットボット以外にAIを搭載することについて「はい」と即答できませんが、将来的には、CM.comの顧客管理データベースや、モバイル決済などに、別の、会話だけではないチャットボットを付けることも前向きには考えています。

CM.comの目標は、AIをプロダクトに搭載するということよりも、顧客にとってベストなソリューションを提供するために、どのプロダクトにAIが必要かを考えています。必要であれば、AIを積極的に導入していこうと考えています。

ホッドニー・べナッジ(Hodny Benazzi)氏

CM.com
ゼネラルマネージャー

20年以上のモバイルネットワークの潜在市場の開拓に従事し豊富な経験を有する。2014 年、CM.comに入社。グローバル展開を指揮し、ロンドン、フランス、南アフリカ、アラブ首長国連邦(UAE)、中国、香港、日本、シンガポール、北米などに法人を設立し、CM.comの急成長を支える。

 

中藤丹菜(なかふじ・にな)氏

CM.com Japan株式会社
カントリーマネージャー

ベンチャー企業を経て、CM.comに初の日本人として2017年に入社。CM.comの日本市場への参入にあたり、 日本法人の立ち上げからサービスローカライゼーション、 顧客開拓などに従事。早稲田大学卒。

 

樋口綾(ひぐち・あや)氏

CM.com Japan株式会社
デジタルマーケティングマネージャー

 

外資イベント代理店で金融・医療・IT業界のマーケティングイベントのプロジェクトマネージャーを歴任。その後、日系の大手飲食店検索サイトやヨガ・フィットネスメデイアでB to Cマーケティング、コンテンツ企画に携わる。2020年、CM.com Japanのデジタルマーケティングマネージャーに就任。慶應義塾大学総合政策学部卒業。

 

(totalcount 856 回, dailycount 1回 , overallcount 16,631,049 回)

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