2020/07/21
【独占】AI開発のきっかけは競技ダンスー学生時代に全国優勝のTDAI Lab福馬智生代表
ECサイトや飲食店の口コミなどの信頼性などをスコアリングする人工知能(AI)を開発・リリースし、「データサイエンスアワード2019」のファイナリストに選出された企業がある。東京大学鳥海研究室発スタートアップのTDAI Labだ。
目次
自然言語処理で自動解析
TDAI Labがリリースしたのは、自然言語処理の手法を用いて口コミの星や、文章の内容から信頼度を自動解析するAI「WISE REVIEW」。やらせ、サクラといったレビューをフィルタリングすることができ、TDAI Labは今期、50社への提供を目指している。
TDAI Labの福馬智生代表取締役社長・CEOはこのほど、AVILEN AI Trendの独占インタビューに応じ、「WISE REVIEW」を開発するきっかけの一つが、自身が出場してきた競技ダンスだったことを明らかにした。
「ダンス採点」と「口コミ」に関連性
福馬氏は「実はダンスの審査員の採点と、口コミは関連性があるのです」と話す。「競技ダンスはフィギュアスケートや体操のような点数化がされておらず、審査員による『このダンサーはいいな』というチェックの数で決まり、それはあたかも口コミのよう」なのだという。
福馬氏はその上で「『モノの真の価値』 に興味を抱き、大学院では機械学習を使って、口コミなどのネットワークから、よりよい集合知を得る研究を行っています」と語り、競技ダンスの経験が、口コミなどの信頼性を採点するAIの研究・開発に着手する契機となったと明らかにした。
「昨今ではグルメサイトのやらせレビューが問題視されており、これらの経験をレビューやSNSなどに応用できればと楽しいと思っています」ーー。笑顔でこう語る福馬氏の探求心はとどまらない。
グルメサイトの評点などの信頼性が社会問題化
グルメサイトの表示順位や評点などの信頼性が社会問題として表面化したことを受けて、公正取引委員会は2020年3月、独禁法違反につながる取引事例をまとめた報告書を公表。飲食店約1600店へのアンケートやサイト運営会社17社に対するヒアリングの結果、サイトに加盟する飲食店の約3割が、表示順位に不満や疑問を感じていることなどが示されている。
福馬氏の発言は次の通り。
全日本学生競技ダンス選手権で個人、団体とも全国優勝
他の会社と比べて、変わっているところが若干あります。実はみんな競技ダンスの選手です。
2015年に全日本学生競技ダンス選手権で個人、団体ともに全国優勝しています。役員全員が全日本1位経験者です(笑)。インターンを含んでも、平均全日本3位以内ぐらいだと思います。
世界大会にも出場しており、19年末に民放番組にも出演しています。
実はダンスの審査員の採点と、口コミは関連性があるのです。
競技ダンスはフィギュアスケートや体操のような点数化がされておらず、審査員による「このダンサーはいいな」というチェックの数で決まり、それはあたかも口コミのようです。
しかしそれらの判断基準は曖昧で審査はばらつきが多く、そもそもの知名度が影響したりと、きちんと評価されているという感覚が薄かったのです。
そのような過程で「モノの真の価値」 に興味を抱きました。それらの背景から大学院では機械学習を使って、口コミなどのネットワークから、よりよい集合知を得る研究を行っています。
昨今ではグルメサイトのやらせレビューが問題視されており、これらの経験をレビューやSNSなどに応用できればと楽しいと思っています。
開発期間は1年弱
――口コミ信頼性スコアリングAI「WISE REVIEW」の開発期間は?
大学院で研究しているうちに、「これは面白い」となり、2019年の初めごろ開発をスタートし、19年11月にリリースしました。
グルメサイトの口コミが炎上したタイミングと重なっていたので、いろいろなメディアに取り上げていただきました。
福馬智生(ふくま ともき)氏
TDAI Lab
代表取締役社長・CEO
経歴
研究分野など
競技ダンス
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