2020/08/06

JDLA松尾豊理事長、深層学習「今後いろいろなブレークスルー」-10~20年かけて驚きも

ビジネス・イベント

ライター:

日本ディープラーニング協会(JDLA)の松尾豊理事長(東京大学大学院工学系研究科教授)は7月23日、人工知能(AI)を支える一つの手法、ディープラーニング(深層学習)について、「まだ、ほんの始まりにすぎない。これからいろいろなブレークスルーがあるし、いろいろな技術、発見が出てきて、産業的に使える部分もどんどん出てくる」と述べ、今後、飛躍的な進歩が見込めるとのと見解を示した。

 

その上で、「これから10年、20年かけて、いろいろな驚きをもたらしてくれるのではないか」と語り、ディープラーニング技術の進化が継続するとの認識を示した。JDLAのG検定E資格の合格者が一堂に会したオンラインのイベント「合格者の会2020」(JDLA主催)での特別講演で述べた。

 

深層学習の産業活用-「人材育成」など推進

JDLAはディープラーニング技術の産業活用を促す一般財団法人。「活用促進」や「社会提言」など5つの活動を積極的に展開しており、そのうちの一つ「人材育成」の一環として、①ディープラーニングの基礎知識に基づき、事業に活用できる人材(ジェネラリスト)と認める「G検定」(オンライン受験)、②ディープラーニングの理論を理解し適切な手法で実装できる人材(エンジニア)と認定する「E資格」(試験会場受験)ーーの2つの試験を実施している。


7月4日(土)に実施されたG検定(2020#2)試験では、過去最多となる8656人が合格。受験者も過去最多の1万2552人と初めて1万人を超え、G検定の累計合格者は2万7377人にのぼる。

産業・社会の大変革に貢献

松尾氏は特別講演で、新型コロナウイルスの感染拡大に触れ、「今のコロナは、本当に大きな外圧だと思っており、その中で、ディープラーニングという新しい技術を使って、産業、社会を大きく変えていくことができるのではないか」とも語り、ディープラーニングが産業や社会の大変革に貢献できる技術だと力説。産業、学術の両面でのディープラーニングの今後の見通しについて解説した。

産業面での進展

松尾氏は産業面について、「サプライチェーン、バリューチェーンのDX化が起こって、それの一つのきっかけになるのがディープラーニングによる自動化の技術、認識の自動化、言語処理、特にリアルとデジタルの間をつなぐインターフェースのところが非常に大きな意味を持つ」と話した。

同時に「当然、大企業とスタートアップの連携というのが必要になってくるし、旧来的なものづくりと、ディープラーニングの新しい技術の融合が重要になってくる」とも指摘した。

 

  • 業界ごとのサプライチェーン、バリューチェーンのDX化
  • 大企業とスタートアップの連携の重要性

 

学術的な視点からの進展

一方、松尾氏は、学術的な視点でのディープラーニングの先行きについて、「ロボット系の活用がどんどん進んでくるだろう。2020年代後半にこの動きがどんどん活発になってくるのではないか」との見通しを示した。

 

  • 機械・ロボット系への活用が進む
  • 言語処理がさらに大きく進展する

AI技術の発展と社会への影響

(JDLA提供)


松尾氏は、自身が2014年9月に策定したディープラーニングをベースとする「人工知能技術の発展と社会への影響」を紹介し、「今でも、だいたい正しいと思っている」と話した。

 

「合格者の会」は、合格者に継続的な学びの場を提供するとともに、合格者同士のネットワークを広げるのを目的に開催されており、今回は新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、オンライン形式で開かれた。収録映像など詳細はこちら

※松尾氏の写真はJDLA提供

 

(totalcount 1,687 回, dailycount 1回 , overallcount 16,441,852 回)

ライター:

ビジネス・イベント

single-banner

COMMENT

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。
*は必須項目です。




CAPTCHA